親が高齢になるにつれて、徐々に衰えていく身体機能。不安に感じる人も多いのではないでしょうか。親と離れて暮らしている場合、帰省が親の体調や生活状態を把握するチャンスになります。今回、お話を伺ったのは、豊富な介護経験を積み、故マザー・テレサ氏とも懇談をした、現役ケアマネージャーの田中克典さん。子どもから老親にしてあげたい家事の手助けについて、詳しく紹介します。
すべての画像を見る(全6枚)帰省は、親の体調や生活状態を把握するチャンス
親と離れて暮らしているみなさんは、どれくらいの頻度でコミュニケーションを取っていますか?
便りがないのは元気な証拠、という言葉もありますが、子の音沙汰を気にしない親はいません。週に一度は電話をするなど、定期的な連絡は、信頼できる親子関係を保つ基本だと私は思います。
そして、これ以上ない能動的なアクションが「直接会う」こと。家庭や仕事の都合で盆と正月くらいしか帰省できない人も多いかと思いますが、それならなおさらのこと、帰省したときは思いっきり親に恩返しをしてください。
帰省は、親の体調や生活状態を把握する機会でもあります。老いとともに、以前できていたことができなくなっている場面にも遭遇するかもしれません。というより、むしろそういう変化がないかを確認してください。
とりわけひとり暮らしの場合は、自分の外見や身の回りのことに行き届かなくなり、不便を不便だと思わずに生活することも珍しくありません。
自分がなにをすれば、親が助かるのか? みなさんも親が喜ぶ顔を想像しながら考えてみてください。
冷蔵庫の中を一緒に片付ける
実家の冷蔵庫の中を整理したことはありますか? 高齢世代には、「食べ物は冷蔵庫に入れておけば悪くならない」という“冷蔵庫神話”が少なからずあります。
帰省したら、消費期限がきれた食材が眠っていないかチェックしてみましょう。同様に、食品庫などに保存してある乾物や缶詰も忘れずに確認を。
期限ぎれの食品とはいえ、勝手に捨ててしまうと親の機嫌を損ねることがあります。食料品は「消費期限内に食べきる」ことを再認識してもらう意味でも、冷蔵庫や食品庫のチェックは親と一緒に行うことが肝心です。
賞味期限なら数日過ぎても食べられるものもあります。捨ててしまうより、消費期限が迫っている食品などと一緒に調理して食卓に並べたほうが、親も「もったいない」という不満を抱かずにすみます。
足腰が弱ると、居間から冷蔵庫まで飲み物を取りに行くのがしんどくなる人もいます。そんなときは、居間にミニ冷蔵庫を置くのも喜ばれるでしょう。