忙しい日は睡眠時間が短くなってしまうもの。眠れるときにはできるだけ寝ていたい、そう思って「寝だめ」をしていませんか? ここでは、疲れをしっかり回復し、睡眠の質を上げる効果的な方法を、睡眠専門医の白濱龍太郎先生に教えてもらいます。

睡眠のイメージ画像
疲れをリセットできる、良質な睡眠をとるコツ(※画像はイメージです)
すべての画像を見る(全3枚)

「寝だめ」には意味がないと言いきれる理由

睡眠不足のイメージ画像
※画像はイメージです

次の日にたくさん眠れないとわかったら、今日できるだけたくさん寝ておこうと思う人も多いのではないでしょうか。ですが、睡眠時間を前借りする「寝だめ」には意味がないということがわかっています。

睡眠の先取りをすることは、体の仕組み上できません。実際に、前日たっぷり眠ったから翌日は徹夜できるかというと、夜になればやはり眠くなります。1日、体や脳を働かせたあとには疲労がたまるからです。

一方、「忙しい平日はなかなか睡眠時間がとれないぶん、休日は長めに寝ている」という人も多いかと思います。慢性的に睡眠時間が足りないことを「睡眠負債」と呼んでいますが、少しずつでもその睡眠負債を返していかないと、体に疲れがどんどんたまっていってしまいます。こうした睡眠負債を返済するために多く眠るのには、効果があります。

つまり、「未来の睡眠を先取りしようとする寝だめはNG」ですが、「たまった睡眠負債をリセットする寝だめはOK」ということになります。

ただし、睡眠負債をリセットするために多く眠るのは、「普段の睡眠時間+2時間程度」にとどめることが大切です。2時間以上長く寝ると、体内時計のリズムが乱れてしまうためです。

また、睡眠負債はため込まず、こまめに返済することも大切です。たとえば「前日に睡眠を1時間削ったら、翌日は1時間長く眠る」「週の前半で睡眠不足が連続したら、週の後半で長めに眠る」というように、なるべく1週間の中で睡眠負債を返済することを心がけましょう。