ESSEonlineに掲載された記事のなかから、5月に読みたいベストヒット記事をピックアップ!
「シニア世代のおしゃれ番長」として話題の女優・柏木由紀子さん。インスタグラムではそのおしゃれな写真を多数投稿しています。はじめてのファッションブック『柏木由紀子ファッションクローゼット』(扶桑社刊)も大好評。そんな柏木さんのスペシャルインタビューをお届けします。今回は、夫・坂本九さんを振り返っていただきました。
※記事の初出は2023年5月。年齢を含め内容は執筆時の状況です。
すべての画像を見る(全4枚)ファッション本を出版。夫にも真っ先に報告して
――『柏木由紀子ファッションクローゼット』が発売されましたね!
柏木:はい。一足早く自宅に届いたできたてホヤホヤの本を、主人(坂本九さん)の仏前の置いて真っ先に報告しました。私がこんなふうに本を出したことに、主人はびっくりしているんじゃないかしら(笑)。でも絶対に喜んでくれていると思います。
おしゃれは今を楽しく充実させる最高の方法。そして、私に元気と勇気を与え続けてきてくれたものでもあります。みなさまに本を通じて私のおしゃれをご披露させていただく素晴らしい機会に恵まれ、とても光栄です。
――坂本九さんは、柏木さんのファッションをさりげなくほめたりされる方だったんでしょうか。
柏木:それはもう、お洋服に限らず髪型でもなんでも「ゆっこ、いい感じだね」「似合うよ」としょっちゅう。全然さりげなくないんです(笑)。ストレートにちゃんと伝えようとしてくれる人でした。
まだスマホのない時代だったから、文字で気軽にやりとりをすることができなかったでしょ。だから、小さなこともみんなメモに残してくれて。「今日の髪型はすごく素敵だったよ」とか「色合わせが最高だね」とか。ほめ言葉のメモがどんどんどんどん増えていくんです。
主人は私より6つ上なので、存命なら81歳になります。あの世代の男性としては、珍しいタイプだったかもしれませんね。私のファッションに興味をもってくれることももちろんそうですし、テニスだって、ゴルフだって、「これは男のつき合いだ」なんて絶対に言わず、必ず私を連れて行ってくれました。楽しいことは一緒にやろうよ、って。温かいマイホームパパでした。
だから、主人があの事故(※)で亡くなるまで、14年間の結婚生活は夢のように幸せでした。
1985年に起きた日航機墜落事故のこと
――どんなご夫婦だったのでしょう。
柏木:主人は責任感の強いリーダーで、私と娘の2人の娘の3人を引き連れている感じです。甘えん坊の私にとっては、夫であるだけでなく、守ってくれる父親であり、頼れる兄であり、なんでも話せる友だちでもありました。
子どもたちに対しては、父親的なことはもちろん、日常のこまごました母親的なことまで難なくやってくれる、今でいうイクメン。たとえば子どもの具合が悪くなったりすると、私はオロオロしてしまい、どう対処するかは主人の指示待ち。今振り返るとなんでもまかせきりで、頼りきりだったように思います。
だから、こんなに幸せで、もしもこの人がいなくなったらどうしようと、ありもしないことを考えて、ひとりでドキドキしたりして。
でも、本当にいなくなるとは、思ってもいませんでした。