更年期にあらわれやすい症状
すべての画像を見る(全4枚)ここからは更年期に訴えの多い体の不調をピックアップ。主な治療法・対処法と、似たような症状のある紛らわしい病気も併せて紹介します。
※ 症状が重い、長く続くなど日常生活に支障をきたす場合は専門医に相談しましょう
●めまい
自律神経の変調により、ふわふわしためまい、回転性のめまい、立ちくらみのようなめまいが生じます。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・鎮暈(ちんうん)薬…めまいを改善する薬
・漢方薬…苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)、五苓散(ごれいさん)、半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
【似たような症状のある病気】
メニエール病、突発性難聴、良性発作性頭位めまい症
●だるい、疲れやすい
更年期女性の7割が訴える症状。エストロゲンの分泌が不安定になることや加齢による体力の衰えが考えられますが、根本的な原因はよくわかっていません。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・ホルモン補充療法
・漢方薬…補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)など
・プラセンタ
・ストレス回避
・運動
・入浴
【似たような症状のある病気】
内臓疾患、貧血、慢性疲労症候群
●頭痛
更年期の頭痛は片頭痛が多いです。エストロゲンの欠乏により血管の収縮・拡張を司るセロトニンが減少し、脳の血管が拡張して起こります。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・頭痛薬
・漢方薬…呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
【似たような症状のある病気】
脳腫瘍、脳血管障害
●のぼせ、ほてり、発汗
自律神経の乱れにより体温調節がうまくいかず、突然顔が熱くなるホットフラッシュや、下半身は冷えているのに顔がほてる「冷えのぼせ」などが起きます。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・ホルモン補充療法
・漢方薬…女神散(にょしんさん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
・プラセンタ
【似たような症状のある病気】
甲状腺機能亢進症、高血圧、心臓病
●関節痛
加齢や体重増加による軟骨のすり減り、エストロゲンの欠乏による関節液(関節をなめらかに動かす液体)の減少によって起こります。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・漢方薬…桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、よく苡仁湯(よくいにんとう)、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)など
・エクオール
※ よく苡仁湯のよくは、「草かんむりに意」が正式表記
【似たような症状のある病気】
関節リウマチ、膠原病
●肌の乾燥
皮膚の厚みを増し、保水力の維持に働くエストロゲンの減少により、皮膚が薄くなり乾燥しやすくなります。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・プラセンタ
●冷え
体熱を作り出す筋肉量が少なく血液循環が悪い女性はもともと冷え性が多いです。更年期には体温調節を担う自律神経の変調によりさらに冷えを生じやすくなります。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・漢方薬…当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅししょうがとう)など
・運動温熱療法
・入浴
【似たような症状のある病気】
甲状腺機能低下症、貧血
●頻尿
エストロゲンの減少による骨盤底筋の衰えにより生じます。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・骨盤底筋体操
・漢方薬…清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
●肩こり、腰痛
エストロゲンの減少による筋肉の衰えなどが原因で生じます。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・漢方薬…肩こりに葛根湯、腰痛に八味地黄丸(はちみじおうがん)
・プラセンタ
・鍼灸
・整体
・マッサージ
・運動
・入浴
【似たような症状のある病気】
急性腰痛(ぎっくり腰)、腰椎すべり症
●動悸・息切れ
循環器の活動を調整する自律神経のバランスが崩れることによって生じます。
【効果の期待できる主な治療法・対処法】
・漢方薬…加味逍遙散(かみしょうようさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)など
【似たような症状のある病気】
狭心症、不整脈、心筋梗塞、甲状腺機能亢進症、肺塞栓症
そのほかの症状として、アリが体の上をはいずりまわるような感覚がする蟻走感には加味逍遙散などの漢方薬、しびれには和温療法とメコバラミンなどのビタミン剤、性交痛、かゆみなどの膣症状にはエストリオール、耳鳴りは腹式呼吸で治ることも多いといいます。