作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。「いいお風呂の日」の今日、冬にはたまらない入浴ライフについて、つづってくれました。

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第85回「冬のお風呂ライフ」

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暖冬なのか、昼間はまだまだぽかぽか温かい。東京と愛媛の二拠点生活をしている私は、ちょうど、みかんの収穫期で愛媛に帰っている。美しいオレンジの水玉模様に染まる山々。一つずつ実を切って、コンテナに入れていき、重いコンテナを何十箱もうんしょ! と持ち上げて軽トラまで運び、納屋へ持って帰って荷降ろし。腰が、腰が~。ばっきばきだわー。

収穫期に限らず、農繁期は疲れきって帰宅し、ご飯を食べたらお風呂に入らずに眠ってしまうなんてことも度々だ。でも本当は、お風呂にゆっくり浸かって内臓を温め血行を良くして眠るほうが、疲れもとれていいんですよねえ。翌朝も目覚めがよくシャキッと起きられる。目を覚ませ! 風呂に、風呂に入るんだ!

 

●今日はいいお風呂の日

11月26日は、「いいお風呂の日」ということで、私のおすすめの入浴方法をご紹介しよう。

米糠

まずは、米ぬか風呂! これは、以前にも紹介しましたが、米ぬかを手ぬぐいで作った袋などにいれてしっかり口を縛ってお風呂に入れ、浴槽で袋を揉めば、またたくまに真っ白のお湯になる。米ぬかなんて家にないよという方は、米の研ぎ汁を入れるのでもいい。我が家は、米の研ぎ汁をとっておいて、お風呂に入れている。夏だと衛生的にNGだが、これだけ寒いと発酵する心配もない。

米ぬかの化粧水が販売されているくらい、米ぬかには保湿力があるので、風呂に入れずに洗顔用に取っておくのもいいだろう。

 

●みかん風呂も香りが染みわたる

みかん

次にオススメなのは、この季節、愛媛のみかん農家はみんなやっているだろう、みかんの皮のお風呂。我が家は、一旦干してから赤いみかんネットに入れて浴槽に入れている(干さなくても大丈夫)。こちらも、言わずと知れた保湿女王で、お風呂の中で皮をもみもみして油分を出す(肌が弱い方はぴりぴりするかもしれないので注意してね)とお湯から上がってもしっとり。柑橘の香りが疲れた体に染み入って、最高のアロマタイムだ。

柑橘と言えば、冬至にはゆず湯をするが、まるのまま入れずとも一回料理で絞ったもので大丈夫。絞った後のゆずの方が油分や香りもよく出て、入浴剤には向いていると思う。見た目はあれだけど、ご愛嬌です。

 

●冷え症にも効くヨモギ湯

ヨモギ

お風呂上級者にオススメなのは、ヨモギ湯だ。ヨモギは、今時期には生えていないので、春になったら是非近所を散歩して収穫してみよう。それを乾燥させたり冷凍にしておけば年中よもぎ湯ができる。そのままネットに入れて風呂に入れてもいいけれど、ぐつぐつと茹でて、その茹で汁とともに入れる方が色もニオイも良い。ヨモギは、特に女性の体に良く、冷え症や、生理痛にもいいという。我が家は、ヨモギ団子を作るときにアク抜きしたヨモギの汁をどどどーっとお風呂に入れる。美しい若草色の浴槽にどぷーんと浸かると、ああ、極楽だ~。優しい若草の香りがして、いつものお風呂時間が一気に温泉になるのだ。

 

●お風呂はとても大切な時間

炭酸の入った市販の入浴剤も気持ちいいけれど、変わり種に、家や近所にあるもので試してみてくださいね。身も心も開放されて、お湯の中に浸かっていると産まれるずっと前にかえっていくような気がしてくる。全ての生物は海から生まれている。湯に全身を浸すという行為は、体を清めるとともに原子を思い出す重要な時間だなとも思う。

畑から帰って来て、「しんどい、もうそのまま寝たい」という日も、一日の締めくくりは、なるべくお風呂がいい。風呂に浸かりながら今日あったあれこれを思い出す。やらかしたことは水に流し、できるだけ何も考えずにぼーっとする。でも、ぼーっとしているときこそ舞い降りてくる。作詞をしていて一番ひらめきが生まれるのがお風呂だったりするので、やっぱり開放的になっているということなのかもしれない。

体や頭は洗う気力がなくとも、とにかく湯に浸かり、そしてほかほかのままお布団にくるまれて眠るのだ。

 

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