近年、高級パンのブームに伴い、日々の食材をちょっといいものに、とこだわる人が増えています。
「夏休みにお取り寄せしてみたくなる話題の牛乳を飲み比べしてみました！」というのは、食に造詣が深いライターの朝岡真梨さん。普段、スーパーで買う牛乳より少々お値段は張りますが、牛乳マニアの間で評判になっている逸品を3つ厳選してもらいました。
熊本・岡山・岩手のすごい高級牛乳3つを徹底比較！
左の「ASO MILK」は、世界有数のカルデラがある熊本県阿蘇の阿部牧場の牛乳です。あの豪華寝台列車「ななつ星」でも提供され注目を集めています。800ml／660円。
真ん中の「蒜山ジャージー牛乳」は、岡山県北部の蒜山高原の牛乳です。英国領ジャージー島原産ジャージー牛のミルクは栄養価が高く、イギリス王室も御用達。そんなジャージー牛を約2000頭も飼育している蒜山は、日本最大の産地として有名です。900ml／791円。
右端の「中洞牧場牛乳」は、岩手県の三陸海岸から20kmほど入った山あいで、植生を活用する「山地(やまち)酪農」を取り入れている中洞牧場の牛乳です。コンクールの受賞歴も豊富で、メディアにもよく登場している高級牛乳の代表的な存在です。720ml／1188円。
すべてオンラインで購入することができ、値段は税込み価格になります。
●100mlあたりの価格を比べてみた
それぞれ、ボトルのサイズが違うので、100mlあたりの価格を計算してみました。
・ASO MILK 82.5円
・蒜山ジャージー牛乳 87.9円
・中洞牧場牛乳 165円
2倍近い差をつけて、「中洞牧場牛乳」の価格がもっとも高い結果になりました。
中洞牧場牛乳は唯一フタ部分に深緑色の包装用紙が被せてあったり、小さい冊子に放射線物質の測定結果が明記されていたりと、安心と品質のステータスを感じました。贈答用にも喜ばれそうです。
●牛乳そのものの色味を比べてみた
同じ、白い陶器の器に牛乳をいれて、それぞれの色味を比較してみました。すると、「ASO MILK」は、陶器よりも真っ白。
対して「蒜山ジャージー牛乳」は光が反射すると、うっすら金色に光ります。英国では「GOLDEN MILK（黄金の牛乳）」とも呼ばれているそう。
そして、「中洞牧場牛乳」は少し青みがかった濃い黄色です。それぞれ、肉眼だとはっきりわかるほど色味も特徴的でした。
●牛乳の香りと味わいを比べてみた
3種類の牛乳をそれぞれ香りがわかりやすいウイスキー用のグラスにいれて、飲み比べをしてみました。
「ASO MILK」は、口元に近づけただけでバニラのような香りが広がります。口当たりはまろやかで、フワっとした甘みは、3つのなかでもっともインパクトが。朝の目覚めにも最高の1杯です。
阿蘇の大自然のなかで、良質な牧草と豊富な地下水ですくすく育った牛の様子が目に浮かぶかのような甘くやさしい風味に、本当にびっくりしました。
この商品だけ容器がプラスチックでしたが、注ぎ口のキレがよく液だれしにくかった点もポイントです。
3つのなかでは、香りも甘さもとても強いので、フルーツとの相性もよさそう。バナナジュースやイチゴミルクにするならば、「ASO MILK」がおすすめです。
飲んだ瞬間のワイルドなコクが際立っていたのが「蒜山ジャージー牛乳」です。まるで生クリームのようなしっかりとしたとろみとコクが感じられます。
乳脂肪分は5％もあるという濃厚な牛乳を無調整・無均質で楽しめる逸品。高タンパク、ビタミンやミネラルなどの栄養価をそのままに、しぼりたての味はやみつきになりそう。
まったりとなめらかな舌触りですが、香りにクセがないので、コーヒーや紅茶の風味も引き立ててくれます。
「中洞牧場牛乳」は、口に含んだ瞬間、草の香りがほのかに感じられて、さわやかな味わいです。コクもあるのですが、後味が驚くほどスッキリとしています。山あいでたっぷり運動しながら自由な環境で飼育されている牛たちは、日本在来種である野シバや木の葉、野草などを食べているそう。「食べたものが、そのままミルクに影響するのだな！」と、しみじみ実感できる風味です。
そして、開栓直後よりも3～4日くらい冷蔵庫で寝かせていくにつれて、青かった香りがマイルドになり、乳脂肪分のコクが増すなど、熟成してゆく味の変化まで楽しめるのも、この牛乳のおもしろいところだと思いました。
どれも個性豊かで、特別なおいしさがハッキリわかる、高級な牛乳。すばらしい環境で大切に育てられた牛たちの命とパワーが1本にギュっとつまっているかのよう。お値段以上の価値を体感できました。ぜひ夏休みの食卓に、家族で試してみてはいかがでしょうか。
