汗や紫外線の影響を受けやすいこの時季は、アトピー性皮膚炎などの子どもの肌トラブルが気になるものです。しかし今は適切な治療や見直しによって、夜ぐっすり眠ることができ、学校生活も楽しめるようになるなど、子ども自身の毎日が大きく変わる可能性があります。今回は巣鴨千石皮ふ科の小西真絢先生に、知っておきたい「症状の変化」や「治療を見直すタイミング」について伺いました。

巣鴨千石皮ふ科の小西真絢先生
巣鴨千石皮ふ科の小西真絢先生

夏の時季、子どもの肌で気になることは?

暑い日が続くと増えやすい、子どもの肌トラブル。

今回、ESSE読者113名を対象に「子どもの肌悩み」に関するアンケートを実施。その結果、もっとも多かった悩みは「湿疹」、次に「乾燥による肌荒れ」、「ニキビ」が続きました。

「暑さの影響かプツプツとした湿疹が出るようになりました。乾燥時は保湿で対処してきましたが、暑さによる湿疹にも同じように保湿を続けてよいのか悩んでいます」(mogumiさん・30代、子ども・0歳<7ヵ月>)

また、「アトピー性皮膚炎」に関しても「汗をかく時期は関節部分が荒れやすく、保湿に苦労しています」(みきゃりさん・40代、子ども・11歳)「夜になるとかゆみで子どもが眠れないことがあります」(flowerさん・40代、子ども・6歳)といった声が。症状だけでなく、ケアの仕方に悩んでいる保護者も多いようです。

子どものアトピーは成長とともに気をつけるポイントが変わる

アトピーの図解

小西先生によると、子どものアトピー性皮膚炎は乳児期~学童期に発症することが多く、年齢によって症状の出やすい部位や悩み方が変わるといいます。

「子どもが成長するにつれ、『今の治療が合っているのか不安』『ちゃんとケアできているのか心配』と感じる保護者も少なくありません」(小西先生、以下同)

具体的にどのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。まずは、年代ごとのアトピー性皮膚炎の特徴から見ていきましょう。

●乳児期(2歳未満)

頭や耳、口周りや頬などに症状が現れやすく、赤みや湿疹を繰り返すことがあります。とくに離乳食が始まる時期は、食べこぼしやよだれの刺激が悪化の原因に。

「乳児湿疹と見分けづらいですが、長期間改善が見られない場合はアトピー性皮膚炎の可能性が考えられます」

●幼児期~学童期(2歳~12歳)

首やひじ・ひざの裏、脇の周辺など関節部分に症状が現れやすくなります。活動量が増えて汗や摩擦の刺激を受けやすく、かゆみから無意識にかきむしって皮膚に炎症や化膿を起こすことも。

「近年は夏だけでなく、花粉が飛び始める春にも悪化しやすい傾向に。『半袖を嫌がる』『プールの授業に出づらい』といった悩みも聞かれます」

●思春期以降(13歳ごろ~)

首やひじ・ひざの裏、脇の周辺、額や顔、胸や背中など全身に症状が現れやすい時期。ホルモンバランスの変化やストレス、睡眠不足をきっかけに悪化しやすく、長引くこともあります。

「学業や部活で忙しく、薬の塗り忘れが増えるケースも。“症状への慣れ”から子ども自身が治療の必要性を感じられず、『塗った・塗らないで親子げんかになる』という切実な相談もよく受けます」

「小児のアトピー性皮膚炎」についてもっと知る

子どものアトピー性皮膚炎「お悩みQ&A」

 
先生に相談している様子

さらに、読者から寄せられた悩みについて、小西先生に聞いてみました。

●Q:思春期になり、親に薬を塗られるのをいやがるように。「子どもが自分で塗る」ようにするには、どうしたらいいでしょうか?

A:6歳前後から、薬を塗る主役を子どもへバトンタッチ。子どもを巻き込み、「自分で治療に取り組む意識」を育てて

思春期に親が塗るのをいやがるのは自然な成長過程です。できれば6歳頃から診察では本人が先生と向き合い、「治したい」という意識を育てることが大切。医師と子どもが直接やりとりをすることで、症状を正確に把握し、希望に合った柔軟な治療や処方にもつながります。

●Q:かゆみで勉強に集中できない様子。対処法はありますか?

A:治療内容を見直すことで改善する場合があります

「薬を塗っているのによくならない」「ずっと同じ治療を続けている」という場合は、治療方法を見直すことで症状が改善することも。最近は治療の選択肢も広がってきているため、症状の改善がないと感じたら、今の治療が合っているか医師に相談してみましょう。

少し改善した段階で終わらせず、適切な治療を受けることで、“つるつるもちもちの肌”を目指せます。

治療の見直しを医師に相談するタイミングは

アトピーのビフォーアフター

では、受診や治療の見直しに最適なタイミングはいつなのでしょうか?

「保湿をしても赤みやかゆみが続く、夜に眠れない、市販薬でコントロールできない場合は、一度、皮膚の専門医に相談しましょう。基本は『不安や疑問があればいつでも医師に相談する』こと。そのうえで、子どもの生活環境が変わるタイミングは、治療を見直すよい機会になります」

●3歳・6歳・12歳などの節目での見直しもおすすめ

代表例が、入園・入学を迎える「3歳・6歳・12歳」の節目です。健康的な皮膚の基礎をつくる乳児期や幼児期はもちろん、周囲の視線や自分の見た目が気になり始める学童期・思春期も、受診先や治療を見直すきっかけになるといいます。

「アトピー性皮膚炎は成長とともに落ち着くイメージがありますが、治る時期には個人差があります。また、幼少期に適切な治療ができていないと、思春期以降に症状が悪化するケースもあります」

実際に、思春期に治療を見直した家庭からは、こんな声も。

「アトピー性皮膚炎の悪化でとびひを繰り返し、包帯なしではいられない状態でした。治療を見直して症状が改善してからは、運動会などのイベントでも肌を気にせず写真を撮れるように。機嫌もよくなり、ささいな親子げんかも減りました」(子ども:12歳・男の子)

とくにこの時期は、症状の改善が子どもの学校生活にプラスの影響を与えやすいもの。症状を繰り返す場合には早めに適切な治療を受け、よい状態の皮膚を維持することが大切です。

●子どものアトピー性皮膚炎の治療「最前線」

アトピー性皮膚炎の治療薬

治療の選択肢が限られていた小児のアトピー性皮膚炎ですが、近年は新しい治療環境が広がっています。

アトピー性皮膚炎の治療は清潔に保つこと、スキンケアでしっかり保湿すること、湿疹やかゆみを抑えるための塗り薬を塗ることです。

「成長とともにこれまでの薬で症状が改善しないことや、生活リズムが変わって塗り薬など毎日のスキンケアを十分に続けられないケースも。現在は、症状の背景にある炎症に着目した注射薬や飲み薬など、治療の選択肢が増えています。治療法を見直したことによって改善が見られたあとで、“以前の負担”に気づく保護者も多いですね」

知っておきたい「アトピー性皮膚炎」の情報はこちらから

治療を見直し、症状をうまくコントロールできるようになることは、肌を健やかに保つだけではありません。

かゆみから解放されることで、「授業に集中できる」「夜ぐっすり眠れる」「スポーツや行事に思いきり打ち込める」など、子どもが生き生きと毎日を過ごすことにもつながります。また、日々のケアや見守りを続けてきた保護者にとっても、時間と心にゆとりが生まれる一歩に。

症状が変化しやすい年齢や生活環境の節目に合わせて、今後の治療の進め方を皮膚の専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

問い合わせ先:サノフィ株式会社 https://www.sanofi.co.jp/ja