スポーツやレジャーとして人気のクライミングやボルダリング。その影響を受けて、自宅の壁にクライミングウォールを設置するお宅も増えています。5歳のときからクライミングを習い始めた長男のために、その5年後に自宅を新築するタイミングで、リビングにクライミングウォールを設置したという日刊住まいライター。自宅の設計を依頼した建築家が登山やクライミングが趣味、ということもあり、良い形でクライミングウォールを設置することができたそうです。設置の方法や費用、実際に使ってみての感想などについて語ります。
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取り付け方は2種類。どう違う?しっかり補強しているから、体重70kgの夫が足をかけても大丈夫ルートセッティングはプロに依頼木製ホールドは見た目も使いやすさも大満足かかった費用は約20万円。クライミングマットも必須取り付け方は2種類。どう違う?
長男は5歳から始めたクライミングがとにかく好きで、週末になるとジムの壁を登りに出かけるのを楽しみにしていました。「そんなに好きなら、自宅にクライミングウォールをつくろうよ」と、新築する家のリビングにクライミングウォールを設置することに。
ホールドを壁に取り付ける方法は2種類あります。1つはボルトとナットでホールドと壁を挟み込んで固定する「ボルトオンホールド」、もう1つは、ビスで壁に直接取りつける「スクリューオンホールド」です。
「ボルトオンホールド」はサイズやデザインが豊富なうえ、取り付け後に位置の変更ができます。一般的なクライミングジムの多くが、ボルトオンホールドを採用しています。一方の「スクリューオンホールド」は、足のつま先をようやく乗せられるような極小のものからミドルサイズまでが中心。
悩んだ末、筆者が選んだのは「スクリューオンホールド」でした。
クライミングジムではカラフルなホールドを目にすることが多いですが、できれば落ち着いたトーンのホールドを選びたいとも考えていました。建築家は黒やグレーのホールドで統一することを考えていたようでしたが、木の家にこだわっていた筆者は、木製のホールドを希望。
探しに探したところ、北海道在住のクライミングインストラクターがハンドメイドでつくる木製ホールド「VOCK」を発見し、購入させてもらうことにしました。
しっかり補強しているから、体重70kgの夫が足をかけても大丈夫
クライミングジムには、スラブという奥に傾斜をつけた壁や、オーバーハングという手前に傾いている壁が多いのですが、当然、住宅の壁は垂直が当たり前。
ジムのように角度をつけることも検討しましたが、家は暮らしを営む場所だから垂直がいいだろうと判断しました。
クライミングでは、小さなホールドに全体重をかけて登っていくため、壁の強度を高めることも必要です。筆者宅では、間柱を細かく入れ、下地を補強した上に合板を設置しています。体重70kgの夫が足をかけてもビクともしません。
ルートセッティングはプロに依頼
クライミングの面白さは、少しずつ難易度の高いコースにチャレンジしていけるところにあると思います。筆者宅では、クライミングジムのインストラクターに相談し、ルートセッティングをお願いしました。
息子の当時の実力から少し先まで見すえて難易度を設定してから、木製ホールド「VOCK」にコンタクトを取りました。ルートセッターがいること、希望する難易度、スクリューオンホールドを希望していること、予算の4点を伝え、ホールドをつくってもらいました。
また、設計を依頼している建築家から、長男がクライミングウォールを登ってリビングに面した小窓から自室に入れるよう設計してあることも伝えてもらい、ルートセッティングをすることに。
木製ホールドは見た目も使いやすさも大満足
ルートセットをしてもらった新築当時、長男は小学5年生。ジムではテープで色分けされているルートを、わが家のウォールでは、かわいらしいシールで記してくださいました。今もまだうまく登れないルートがあり、なかなかの難易度に仕上がっています。
中1くらいまでは小窓から部屋にすんなり入れたので、1日1回は小窓から入っていましたが、現在中3になって身長が160㎝を超えてからは難しいようです。
木製ホールドを選んでよかったのは、リビングが落ち着いたトーンで統一できたことです。柿渋で仕上げてあるのですが、つかむところはざらっとした感触になるように仕上げてあるので、指先に滑り止めのチョークを塗らなくても滑りません。上手く足を乗せればクライミングシューズのゴム跡もさほどつかず、大満足の仕上がりです。
かかった費用は約20万円。クライミングマットも必須
当初、壁の半分をクライミングウォールにする予定でしたが、壁の施工直前に全面に変更してもらいました。
ホールドは全部で約10万円。ルートセット料は6万円かかりました。壁の補強や間柱の追加など、もろもろ合わせて合計で20万円ほどかかりました。
忘れてはいけないのは、クライミングマット。万が一落下した時、ケガをしないようにするための必須アイテムです。こちらは2万5000円ほどで購入しました。
今は中学生となった息子は部活が忙しく、なかなかクライミングジムへ行くことができませんが、今も時々登って楽しんでいます。
筆者も息子と共通の楽しみをつくろうとクライミングを始めました。日中、仕事に行き詰まったときに登って気分転換しています。少し手間と費用はかかりましたが、つくってよかったと日々実感しています。