●更年期の不調はどれくらい続く?個人差はあるの?

手を重ねる女性
更年期は人生で大きな出来事が重なりやすい時期
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エストロゲンの減少による不調のピークは、平均で2~3年、長くても5年ほどといわれています。エストロゲンの変化そのものは、だれもが経験する自然な変化ですが、ストレスによって強まることがあります。

加えて更年期は、人生の大きなできごとが重なりやすい時期でもあります。

例えば、子どもの進学やそれに関わる費用のこと、子どもの親離れ、家族や友人の病気や死、自分自身の病気、親の介護や見守り、相続やお墓の問題、パートナーとの関係の変化、仕事の重圧やリストラ、老後の生活資金のことなど、更年期には、簡単には答えの出せない大きな問題が、ひとつだけでなく、一度にいくつも重なることがあるのです。

つらいな、気持ちが沈んでしまうと感じたら、ひとりで抱えずに、だれかに相談しましょう。

更年期に理解の深い婦人科の中には、更年期の不調を和らげる治療を提案しながら、専門家との対話を通じて、その人なりの更年期の乗り越え方を探していくカウンセリングをしてくれるところもあります。この機会にパートナードクター(かかりつけの婦人科)を見つけておくことも安心につながると思います。

●更年期は、健診や検診を受けることも大切です

女性の医者

更年期に現れる不調の原因が、更年期特有のものだと見極めるためにも、また、症状がなくても、年齢を重ねると生活習慣病やがんなどの病気も増えてくるため、定期的に、年に一度は、健康診断を受け、婦人科検診やがん検診も受けることが大切です。

更年期の女性は、家庭や職場、地域など、多方面から必要とされて充実している反面、とても忙しく、自分のことがあと回しになりがちです。たとえ不調を感じても、各方面のキーパーソンとして、知らぬ間に無理を重ねていることもあります。

もし、家族に更年期の人がいて、健診や検診を受けていないようなら、かけがえのない大切な人の健康のために、家族で協力し合って、ぜひ受診を促してほしいと思います。家族が予約を取ってあげるのもいいと思います。

●更年期は、これまでの生活習慣やライフスタイルを見直すタイミング

ストレッチをする女性

更年期は、エストロゲンの分泌量が急激に減少することで、自律神経のバランスが乱れやすくなる時期。自律神経は、生活のリズムを整え、栄養バランスのよい食事をとり、適度な運動と十分な睡眠、そしてリラクゼーションを大切にすることで、安定しやすくなります。

これまでの生活を振り返って、少し偏りがあったかも…と思う人は、更年期を上手に乗り切るためにも、また、更年期以降も自分らしく過ごすためにも、症状がないうちから、ライフスタイルを見直したり、自分に合うセルフケアを探したりしてみましょう。

●実際に更年期の症状を経験して気づいたこと

私自身も、3年ほど前に更年期の症状を感じ始めました。思えば最初は倦怠感から始まり、気持ちが沈んだり、ホットフラッシュで大量の汗をかいたり、手指の関節が痛くなったり、動悸がしたり、疲れやすくなったりも…。

不定愁訴と呼ばれる様々な症状があらわれはじめたときは、つらいな…と感じることもありましたが更年期について「予習」していたことで、見通しが立ち、心身の変化を冷静に受けとめることもできたように思います。更年期症状は3年ほどで落ち着き、その間に、少しずつですが、今の自分に合う暮らしのペースに、軌道修正できた気がします。

アロマテラピーや鍼灸のケアにも助けられましたし(あくまで、個人の感想です)、更年期を経験した方のお話も、とても参考になりました。「ホットフラッシュ」のことを明るく話してくださる方と出会い、その人にならって、私もホットフラッシュが起きたときは、「更年期なんです!」と周囲に明るく伝えることで、気持ちがラクになりました。

更年期は「これからの人生をどう生きるか」を考えるための大切な期間。自分の体と前向きにつき合うきっかけになればと思います。

参考資料: 『中高年女性健康教育マニュアル』小山嵩夫監修(日本家族計画協会刊) 『女性医学ガイドブック・更年期医療編』日本女性医学学会編(金原出版刊) 『更年期医療ガイドブック』日本更年期学会編(金原出版刊) 『心と体の不調をなくす40歳からの女性ホルモンケア』相良洋子監修(家の光協会刊)