インフルエンザや風邪が流行中です。もうすぐ花粉も飛び始め、冬はなにかと不調を呼びやすい季節…。
そこで、ウイルスや花粉に負けない体をつくる方法を、人気の漢方師・櫻井大典さんに伺いました。暮らしの習慣を見直すだけで病気や未病を防ぐ体づくりを目指す、「ゆる養生」のアイデアを教わります。
漢方の考え方を取り入れて、免疫力をつけよう
すべての画像を見る(全7枚)そもそも漢方の世界において、免疫力とはなんでしょうか。
「『正気(せいき)』と『衛気(えいき)』が、それに当たります。正気は体の中に満ちて、外敵である邪気を追い払う気。衛気は体の外のバリアのことで、衛兵のように邪気を追い払います。これらは、“五臓六腑”という漢方における臓器の分類でいうところの、『脾(ひ)』や『肺(はい)』でつくられます。脾とは消化器系の役割を担う内臓を指し、肺とは呼吸をつかさどります。さらに、気のもととなる精は『腎(じん)』という体の成長や生殖をつかさどる内臓で蓄えられますが、寒くて乾燥する冬はどれも弱りがち」。
つまり、『脾』と『肺』、『腎』が弱らないように習慣を見直すことが、強い体づくりの第一歩です。
やや難しく感じてしまいますが、見直すのは日々の暮らしにおけるちょっとした習慣だけ。具体的にどんなことに気をつけるべきでしょうか。
●アウターは必ずお尻が隠れる丈に
冬はとにかく腎のある腰まわりを冷やさないことが大事。
「筋肉の少ない女性はとくに腎が冷えやすいので、アウターもショート丈より、かがんだときに腰やお尻が出ない、長めの丈を選びましょう」
●起きる約1時間前から部屋を暖めておく
「一日のうちで起床前は、体温がいちばん下がっている時間帯。さらにそこで冷えきった部屋で起きると、体温を上げるために体のエネルギーを使います」
タイマーで1時間前から暖房をつけておくなど、起床時に部屋を暖めておくと、目覚めもスムーズになります。
●寝るときは足を壁に向けて寝る
「素足でいるとすねの毛穴から冷えが侵入し、靴下を履かなければ内臓のツボが集まる足の裏が冷えるわけで…下半身を冷やすことは腎や内臓の冷えにつながります」
冬に足を窓に向けて寝ると外気に近い窓から冷えが入ってしまうので、寝るときは足を壁に向けましょう。
●冬は発汗NG!お風呂はじんわり汗をかいたら上がる
「体が冷えているからと長湯をしたくなる時期ですが、汗をだらだらかくような入浴は、激しい運動と同様、潤い(陰)を失います」
同じ理由でサウナや岩盤浴も、長時間は避けて。じわっと汗をかく程度で、十分体は温まっています。
●室内の加湿はしっかり!濡れタオルは干すよりもグルグル振り回す
風邪の予防には部屋の湿度を高く保つことも大切です。ストーブの上にやかん、加湿器も利用しましょう。
「濡れタオルは干すだけでなく振り回すと、ウイルスがくっついて減ります。回したあとはしっかり洗い、また干しておきましょう」
●お風呂は19~21時に、就寝はぜひ22時までに
なによりも大切なのが睡眠。
「日中体をめぐって気や栄養を全身に届けた血は、午前1~3時に浄化されます。なので、この時間に深く眠っていることが重要。お風呂上がりは交感神経が優位になってしまい眠りにくいので、入浴は就寝の1時間以上前に済ませましょう」
簡単なことから始めてみて、体の変化を感じてくださいね。
ESSE2月号ではほかにも、櫻井さんから教えてもらうゆるく始められる漢方習慣がいっぱい。ぜひそちらもチェックしてみて。