53歳でスペインへ渡り、3年間ひとり暮らしを経験したRitaさん。現地で驚いたのは、困っているときに見知らぬ人が自然に手を差し伸べてくれることでした。人の親切に助けられるなかで、「人に迷惑をかけないように」と考えていたRitaさんの価値観にも変化が。スペインでの暮らしをとおして気づいたことを伺いました。
すべての画像を見る(全3枚)スペインでは「困っている人を助ける」が当たり前
スペインでひとり暮らしを始めた頃、スペイン語をほとんど話せませんでした。スーパーで欲しいものが見つからず、道もわからなければ、看板に書かれていることの意味さえわからない。
日本なら簡単にできていたことが、海外ではひとつひとつ大きなハードルになりました。
しかし、スペインの暮らしで驚いたのが、私が困っていると、ごく自然に手を差し伸べてくれる人たちがいたことです。
●乗るはずだった電車が遅延。駅員の対応に涙
また、あるときは、電車が大幅に遅延し、目的地へ行くために別の電車とバスを何本も乗り継がなければならないことに。
駅ではアナウンスが流れていましたが、私のスペイン語力では、とても理解できません。
途方に暮れていた私に気づいた駅員さんは、紙を取り出すと、
「この駅でこの電車に乗る」
「ここで降りて、このバスに乗る」
「さらにここで電車に乗り換える」
と、私にもわかるように簡単な地図まで描きながら、ひとつずつ行き方を書いてくれました。
最後に「これで行きな!」というように、そのメモを私に差し出してくれたときは、涙が出そうなほどうれしかったのを覚えています。
●日常の延長に人助けがある
地方の公共バスでも、こんなことがありました。
カードで支払えると思って乗ったところ、現金しか使えず、私は小銭をまったくもっていませんでした。近くの乗客に両替をお願いしてみたものの、ちょうどよい小銭を持っている人がいません。
困っていると、ひとりの女性が「これで払いなさい」と運賃分の小銭を差し出してくれました。返そうとしても、「いいから、いいから」という様子で受け取ってくれません。
あまりの親切に、私はまた胸がいっぱいになりました。
3年間のスペイン暮らしのなかで、私はこんな場面に何度も出会いました。そこには「人助けをしてあげた」という大げさな感じがありません。
困っている人がいる。自分にできることがある。だから、やる。
そんな気持ちが、日常の延長にあるように感じられたことが、私にはとても新鮮に感じました。


