人の親切は素直に受け取っていい

今振り返ると、あのときの私は、人からの親切をそのまま受け取ることにまだ慣れていませんでした。なんとなく、「申し訳ない」と尾を引くような気持ちだったかもしれません。

でも、スペインで何度も人の親切に助けられるうちに、少しずつ考え方も変わっていきました。まずは「ありがとう」と親切を素直に受け取る。そして今度、自分がだれかが困っている場面に出会ったときに、自分のできることをすればいい。

そう思えるようになると、人に助けてもらうことへのハードルも少しずつ下がっていきました。

「迷惑をかけないように」とひとりで抱え込むより、ときには助けてもらう。そして、自分に余裕があるときには、だれかに手を差し伸べる。

そんな「お互いさま」の関係が、自然に感じられるようになりました。

「お互いさま」がある暮らしの心地よさ

若い頃の私は、「自立する」ということを、「なんでも自分ひとりでできること」だと思っていたような気がします。でも、スペイン暮らしをきっかけに、その意味が少し変わりました。

自分でできることは自分でする。できないときは「ちょっと助けてもらえますか」と言える。自分にできることがあれば、だれかに手を差し出す。

これらもまた、自立をするということなのだと感じています。

大げさなことをする必要はありません。

荷物を持つのに困っている人がいたら、ドアを少し押さえておく。なにかを尋ねられて、自分がわかれば教える。自分が困ったときには、店員さんや係員など、適切な人に「教えてください」と言ってみる。

助ける日もあれば、助けてもらう日もある。

「人に迷惑をかけないように」と力を入れすぎなくても、暮らしはちゃんと続いていきます。

全部ひとりでできることを目指すより、人の好意を素直に受け取り、自分が受け取った親切を、いつかまた別のだれかへ繋げていく。そんな小さな「お互いさま」がある暮らしを大切にしたいと思っています。