4年で3度の引っ越しを経て、現在は44平米の小さな住まいで暮らす、ライフスタイルコーディネーターの山藤陽子さん。コンパクトなワンルームで持ちものをゼロに近いほど減らした経験から気づいたのは、空間にも、ものにも、暮らしにも「余白」が必要ということ。そこから見えてきた、心地よく暮らすための工夫を紹介します。
※ この記事は『別冊天然生活 手放して軽やかに暮らす』(扶桑社刊)を一部抜粋・再構成して作成しています。
すべての画像を見る(全7枚)執着を手放し「今の自分に必要なもの」だけに
4年で3度。ライフスタイルコーディネーターの山藤陽子さんが引っ越しをした回数です。現在の住まいは、少し前に越してきたばかり。12年ぶりに愛着のある街に戻ってきました。
「この4年は、人生で大きな変化のときでした」(山藤陽子さん、以下同)
住まいのサイズも大きく変わり、ひとつ前は29.7平米のワンルームマンションでした。いまから3年ほど前、大切な家族を亡くし、なにもできず、なにも考えられない時期を過ごした山藤さん。悲しみのなかで、引っ越しを決意します。
「思い出に囲まれた家にいるのがつらかったし、『執着を捨てられたらラクになるんじゃないか?』と思ったんです。だから、いろいろなものを手放し、ゼロに近いくらい軽くしてみようと」
お気に入りのヴィンテージ家具や作家ものの器など、二度と同じものには出合えないかもしれないと思いながらも、多くを手放しました。
「もうすべてを手放して、なにもないところに暮らしてみて、自分がどう感じるか? どう生きていきたいのか? …そんなことを見極める期間にしようと思ったのです」
ものとの距離をとるため、あえて思い入れの生まれにくい手軽な棚を買いたし、持ちものをパズルのように収めて、とにかく小さな暮らしを始めました。
暮らしに「余白がたりない」と気づいて
そんな暮らしを続け、もうすぐ1年という頃、山藤さんは「停滞している」と感じるようになります。
「5歩でキッチン、また5歩でお風呂…というように、狭い空間、少ないもののなかで行動や思考力が狭まっているように感じました。そういうシンプルさが便利だし、明快という方もいると思うのですが、私自身は考えたり想像したり、『遊び』みたいなものがなくなっていない? と」
そこで、はたと思い至ります。
「余白がたりないんだ」
空間のゆとり、ものの選択肢、いくつもの動きの流れ。そうした「暮らしの余白」が自分には必要なのだと気づき、引っ越すことに。
ほどなくして、以前暮らしていたなつかしい街に古いマンションを見つけました。前より少し広い住まいに移り、ものを無理なく収められるようになると、暮らしにも「余白」が生まれました。
「徹底的にものをなくして小さな場所で暮らしたことで、私にとって余白は欠かせないものなのだと気づきました。収納を工夫して、限られたスペースを無理なく生かすようにしています」


