数多くの女性誌や書籍の執筆を手がける、ライターの一田憲子さん(60代)。歳を重ねるなかで気がついた、人生の後半を楽しむヒントを紹介します。今回は、苦手だった片付けやお金の管理が、自然に整うようになった仕組みづくりについてです。
※ この記事は『最後の答えは、きっと暮らしの中にある。』(内外出版社刊)に掲載された内容を一部抜粋・再編集して作成しています
すべての画像を見る(全3枚)「見ないふり」はやめてちゃんと見て歩く習慣を
大ざっぱで三日坊主な人間なので、片付けがなにより苦手です。「見えるところだけはきれいに。見えないところまでは片付けない」というのがいつもの作戦で、部屋は一見すっきりしています。でも、見えない場所にものが増え続け、扉をあけると雪崩が起こるようになってきました。わが家でそんな崩壊が起こる場所はじつは決まっています。
ひとつが食品ストッカー。これはキッチン脇に置いたスチールシェルフの棚に、細長いカゴをセットして乾物やお茶類、調味料のストックなどをしまっている場所です。カゴごとに缶づめ、乾物、スパイス類と分類しているのですが、スーパーで「あれもうなかったかも」と買ってきたのに、まだ前のものが残っていて、容量オーバーでカゴの上が山盛りになってしまいます。
もうひとつは、書斎の押し入れ。パソコンデスクを置いたちょうど背面に、いつも関わっている雑誌のバックナンバーと、使い終わった取材ノート、会計書類、文房具などをしまっています。すぐには使わないけれど、処分できないものをとりあえず突っ込むので、たちまちぐちゃぐちゃになります。
この2か所の共通点が、「入り口」から入るもののほうが「出口」から出るものより多いということ。一度突っ込んだら、そのまま放りっぱなしで、いつ、なにを出すか「出口」のルールが決まっていない、ということでした。わかってはいるけれど、急を要さないので、いつまでたっても対策を立てず、今もどこになにがあるのやら。
今あるお金で、老後の資金はたりるのか? そんなもやもやした不安をなんとかしたくて、取材で知り合ったファイナンシャルプランナーの事務所に相談にいきました。すると、まずは、支出の現状を知るために、苦手だった家計簿をつけることをすすめられました。とはいっても、アプリをクレジットカードと連携させておき、使ったお金を費目別に振り分けるだけです。
「この支出の中で経費の割合はどれくらいですか?」などと細かな質問を受けるうちに、ああ、私は自分のお財布のことをなんにも理解していないんだと思い知りました。
収納もお金の管理も、私は現状把握がとことん苦手なのだとわかってきました。それはきっと「ジタバタしたって現状は変わらないさ」とどこかであきらめているからなのかも。大ざっぱな性格の人は「チリも積もれば」の力を信じられないのです。チマチマしたことに労力を使わず、もっと即効力があることにパワーを注ぎたいと思ってしまいます。
自分の力でどうにもできず、プロの手を借りるということは、この「現状把握」を一緒に指差し確認してもらうことでもあります。自分の生活のサイズを把握しながら、同時進行で、少しずつ貯蓄や投資のアドバイスを受けています。
人間ドックに行くようになったのは5年ほど前からです。一度目に大腸に大きめのポリープが見つかり、手術を受けました。あのまま放置していればどうなっていたかと、思いきって行った自分をほめてあげたい! 以来年に一度は検査をしています。数値で体の状態を見える化することで、食べるものや運動など早めに手を打つことができます。
人生後半になって、やむなくお金や医療のプロに頼るようになり、「見ないふり」をするほうがラクだけれど、「ちゃんと見る」ことから「改善」というプロセスを歩き始めることができるのだとやっと理解しました。
そろそろ食品ストッカーと押し入れの中身をチェックして、ちゃんと出口を作る作業を
しなくちゃと思うこのごろです。

