発見されたのは、大量の漫画グッズ

遺品整理
<実録マンガ>遺品整理物語~生と死を紡ぐ家族のリアル~(漫画:西園フミコ)より
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グッズのなかには希少価値が高く、オークションなどで売ることができるものもあります。依頼主から不用品引き取りの要望があったものは、回収後に適切なリユース流通に回すケースも。値段がついた場合は、その分を遺品整理料金から差し引くこともあるそうです。

石田さんによると、高値がつく可能性があるのは古銭や切手など、収集家たちの市場があるもの。一方で、推し活グッズ(うちわなど)や、古い車のパンフレットなどは、売却の範囲外になることもあるそうです。

「ほかにもブランドバッグや服なども流行に左右されるため、元値が高価だとしても売れない場合があります。たとえばミンクのコートは、今の時代には需要があまりないんです…。今回の部屋には売り手がつきそうな大量の漫画のグッズが遺されていていたので、依頼人に買取の許諾を取るべくスタッフが電話しました」

すると、遺族である元妻からは、「なんでもいいから、早く片付けてほしい」と淡々とした答えのみ。元妻は見積もりの日も作業日も現場に姿を見せることはなかったそうです。

「故人とご家族の間でなにがあったのか、私たちには知る由もありません。しかし、作業完了の報告をした際、元奥さまがぽつりと口にされた『最期まで迷惑かけられましたから…』という言葉には、いろいろと胸に引っかかるものがありましたね」

今回のケースを通じて見えてきたのは、遺品整理が単なる「ものの片付け」ではないということ。そして、その作業は人生の終わりと家族の関係性に静かに寄り添い、それらの記憶を「カタチ」として整理していく時間でもあるのかもしれません。

※ 実際の体験をもとに、依頼者および遺品整理業者の許諾を得て制作しています。個人情報保護の観点から、登場人物や一部の状況は実際の事例を損なわない範囲で変更しています