故人の残した品を整理する「遺品整理」。持ち主がいないものの「いる・いらない」を判断するのは、時間と労力がかかるため、近年ではこの“最後の片付け”を遺品整理業者への依頼するケースが増えています。ただ、その片付けは必ずしも円満とはいかない場合もあるそうです…。そこで今回はグループ合計で18万件の実績をもつ「遺品整理プロスタッフ」の代表取締役社長・石田毅さんに遺品整理のリアルを伺いました。

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「事故物件」での遺品整理のリアルとは?(※画像はイメージです。画像素材:PIXTA)
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離婚を苦に自死…。40代男性の「遺品整理」の現場とは?

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<実録マンガ>遺品整理物語~生と死を紡ぐ家族のリアル~(漫画:西園フミコ)より

今回のケースは、離婚の末、自死を選んだ40代男性の「遺品整理」を巡る現場にかんするもの。場所はいわゆる“事故物件”であり、依頼者は故人の元妻だったそうです。

「故人は離婚後、2DKの部屋に引っ越し、ひとり暮らしを始められました。その部屋で自死されたということで、今回弊社に片付けを依頼されました。”遺品整理”とはいえ、事故物件となる現場の片付け。通常の作業よりもさまざまな問題がともない、実際に現場を目にすると、壮絶な光景が広がっていましたね…」(石田さん、以下同)

事故物件の片付けでは、故人が亡くなった場所の「特殊清掃」が必要になることがあります。これは一般的な掃除とは異なり、目に見える汚れだけでなく、床材や壁に染みついた強い臭気の除去までを含む、専門技術を要する作業です。

「特殊清掃はまず、悪臭を取り除く作業から始めます。しかし、状況によっては『オゾン脱臭機』という専用機器を使い、においの原因を化学的に分解して消臭する必要がある場合も。なかには24時間、最大1週間程度の稼働が必要になるケースもあります。また、孤独死の現場でも、発見が遅れることで状況がさらに深刻化することも少なくありません」

●特殊清掃の費用は数十万円になるケースも

特殊清掃の費用については、現場の状況によって異なります。小規模な汚れの場合は数万円程度ですむこともありますが、広範囲にわたる大がかりな作業や、臭気除去にオゾン脱臭機を使用する場合などは、場合によって数十万円に達することもあるそうです。

今回のケースで特殊清掃が必要だったのは死亡した現場のみ。そのほかの部屋はいたってきれいな状態だったため、通常の遺品整理の手順である、遺品の仕分けや片付け、搬出といった工程を中心に行っていきました。そこで発見されたのが、故人が集めていたコレクションの数々です。