定年退職や体調不良、子育て終了を迎える50代~60代は、夫との暮らし方を見直せるベストタイミングです。ここでは、キッチンでの分担を見直して人生が好転した例を紹介します。元祖節約主婦としても知られ、カウンセラーとしても活躍する若松美穂さん(50代)に伺います。

キッチンの様子
年齢とともに「暮らしの分担」も見直し。夫との良好な関係を保つ考え方とは?
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50代60代は暮らし方を見直すタイミング

長い時間をともにすごす夫婦の暮らしは、見直しが必要なことがあると感じています。家事ひとつをとっても、どちらがなにをするのかは各家庭で異なりますよね。

たとえば、イヤな顔をされるくらいならと、家事をすべて自分でする人。掃除や裁縫、庭の手入れを夫に託している人など、いろいろな夫婦の形があることを実感します。

そして、家事の分担もずっと同じわけではなく、定年退職や体調不良、子育ての終わりをきっかけに変わったという声も耳にします。わが家の場合は夫が料理が得意です。たまに「ゴミ捨てに行こうか」と声をかけてくれますけれど、基本的に掃除や洗濯はしません。一方の私は洗濯や掃除・片付けは苦ではないので、お互いにラクです。

家事を「してもらっている」という考えを卒業

そんなわが家にも変化がありました。そのひとつがキッチンの分担。家事の分担ではなく、キッチンの分担です。

以前の休日は、よく一緒にキッチンに立ちました。理由は料理の間に使い終わったフライパンを洗ったり、使わない食材を片付けたりしてスピードアップしたからです。また、料理は好きでも台所に立つ回数の少なかった夫は、調味料やお皿の場所がわからず「あれは? これは?」と質問。近くにいた方が効率的でした。

そして、自分の仕事を夫にさせているような謎の後ろめたさも少し感じていました。令和の今はそんなことを思わなくてよいのでしょうけれど、「そばにいた方がいい」という思い込みがあったのです。しかし、さすがに何度もキッチンにいれば夫も配置を覚えます。次第に、私がそばにいる必要はなくなりました。

家事は「できること」で担当を決める

現状、夫がつくるのは彼の得意料理。ビーフシチューやカレー、ステーキ、サラダタコス、パスタ、うどんやつけそば、カルパッチョなど…。ほとんどでは? という声が聞こえてきそうですが、炊き込みご飯や魚料理、和定食のほか、冷蔵庫の中身を使いきる料理は私の担当です。

●料理担当が自然と決まるようになった

それぞれが得意分野を把握してからは、お互いの忙しさや、その日食べたいものを伝え合うことで、キッチンに立つ役割が自然と決まるようになりました。

また、私が疲れているときや仕事で忙しいときは、先に「○○が食べたい!」と夫の得意料理を伝えればよい気楽さも生まれました。また、やるべき家事が残っていても夫にキッチンを任せられるので、自分の心のゆとりも増えたように感じます。