ペットの柴犬の写真をX(旧Twitter)に投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第86回は「犬との秋のお出かけ」について。
すべての画像を見る(全15枚)久しぶりに一緒に訪れた「みかん畑」
萩の花が庭先で満開に咲いている。9月下旬、朝の日差しはやわらかく、空気が涼しくなった。散歩しやすいのがとにかくうれしい。犬も私も、夏で落ちた体力を取り戻していかねば。
夏のあいだは連れて来られなかったミカン畑にも、久しぶりに一緒に足を運んだ。柵のなかに入ってリードを外すと、まずはにおいを嗅(か)いでいた。「こっちやでー! おいで!」と斜面をのぼった私が声をかけると、それが合図になったように一気に走り出した。
普段くるりと巻かれたしっぽが、急発進した身体にしがみつくみたいに揺れながら、斜面を駆けてくる。放っておくと、におい嗅ぎに夢中になっていただろう。私に呼ばれて「もうしゃーないな」なんて言ってるかも。だけど犬も一度走り出すと、止まらない。
犬の全力疾走を目の前にすると「ほんまはあれくらい足速いんや」と改めて思う。
たまに散歩の途中で一緒に走るときもあるが、だいぶ私の速度に合わせてくれてんねんな。
ある日の午後、和歌山の由良町へ出かけた。
まず白崎海洋公園に着くと、石灰岩の白くてどデカい岩壁に迎えられた。
壮観な岩壁を見上げる人間に対して、犬は地面を見下ろして、ここでも草むらや駐車場のにおいを嗅いでいた。