なにわ男子の長尾謙杜さんが「今まで観たことのないラブストーリーになった」と話す映画『恋に至る病』。内向的な主人公の心情をつかむためのアプローチや、長尾さん流の“不要なものや考え方の手放し方”を明かしてくれました。

長尾謙杜さん
長尾謙杜さん。ドラマの話やプライベートのお話をたっぷり伺います

「こういう表情でやろう」とはあえて意識しない

「高校生のラブストーリーと聞くと、“キラキラ映画”を想像する人が多いと思うんですけど、それとはまた違った、新しくて刺激的なラブストーリーができたと思います」。

なにわ男子の長尾謙杜さんが語るのは、まっすぐで不器用な初恋に、同級生の不審死と恋人への疑惑がミステリアスに絡み合う、映画『恋に至る病』。長尾さんが演じるのは、学校中から愛されるカリスマ的存在の寄河 景(よすが けい)と出会い、惹(ひ)かれていく高校生の宮嶺 望(みやみね のぞむ)です。

「宮嶺は少し気弱だけど、自分のなかにちゃんとした核をもっていて。周りからも、『この子なんだか気になるな…』と思われるような、不思議な雰囲気をもった少年なんじゃないかな。そんな宮嶺が景に惹かれていくことで、2人だけでなく周囲まで変わっていく。恋のような本能的な人の気持ちというのは、すごいパワーをもっているんだなと感じました。

だから『景は人を殺したのかもしれない』という疑いが生まれても、好きな気持ちの方が強いから、すべてを許してしまう。宮嶺は景さえいてくれればいいんだろうな、と思いながら演じていました」

寡黙な宮嶺を演じるうえで求められたのは、言葉ではなく、視線や沈黙による演技。目をうるませたり、小さく笑みを浮かべたり、唇を震わせたり…といった繊細な表現から、彼の心情が伝わってきます。

「今回の作品では“間”をたっぷりとったシーンや無言の時間もありました。ただ、演じているときは『これくらいの間でやろう』『こういう表情をしてみよう』とは意識していないんです。だって、普段生活をしていて『俺はこの間で話そう』とか考えないじゃないですか? 本当に役の気持ちになって台詞を言えば、自然と表情や言い回しができてくると思っています」

どんな役でも楽しいし前向きに取り組めます

今作に限らず、役をつかむときはいつも、想像を膨(ふく)らませることから始めるそう。

「お芝居でやることのほとんどは自分が実際に経験していないこと。こういうとき、自分ならどう考えるだろう? この子も同じかな、それとも違うかな…? と想像して台本に書かれていない余白を埋めていきます」

そうしたアプローチの過程も含めて、長尾さんにとって演技は「楽しい時間」だそう。

「自分がやりたいことだから、どんな役でも前向きに取り組めます。作品を観た人から声が届いたときにもやりがいを感じますし、スタッフさんたちとの作品づくりの過程も楽しい。つらい役でも、あまり引きずることはありません。ただ、体力的には大変なこともありますね。今回も、景が乗ったモノレールを自転車で追いかけるシーンがあるんですけど、あれは本当に2駅分ぐらいこいでますからね(笑)」