昔なじみの友人との会話が、どこかものたりなく感じるようになった。そんな違和感を感じたことのある人も多いのではないでしょうか。75歳で現役バッグデザイナーとして活躍する江面旨美(えづらよしみ)さんもそうだった、といいます。これからの人づき合いを見直し、自分のために人生を整えていきたいと考えるようになった江面さんが、70代の今だからこそ見えてきた「人生を豊かにするための暮らし方」について、教えてもらいました。
※ この記事は『75歳、心が弾めば人生は楽しい』(KADOKAWA刊)に掲載された内容を抜粋・再編集しています
すべての画像を見る(全3枚)75歳、これからのおつき合い
シニアになると、人づき合いもマンネリ化して、少々面倒になってきます。これまで、学生時代の気のおけない友人たちと数か月に1回ランチ会みたいな集まりをやって、私も参加していました。
楽しいようで、案外しゃべることはつまらないんです。昔話や、どこそこのランチおいしかったわよ、なんて、その場で盛り上がって笑っておしまい。なんだかねぇ…と思うことが増えました。
仕事でのおつき合いも、信頼は築けても、打ち解けて話せる関係には意外になりにくいものです。不特定多数の関係は、最大公約数の話題しかありません。差しさわりのない平々凡々とした会話で終わります。
これからは、友達関係は1対1。共通の趣味やテーマを通して、互いに刺激し合える友人を開拓していきたいと思う日々です。
たとえば、落語通と友達になってレクチャーを受けてみたい。歌舞伎鑑賞も、それぞれひいきの役者がいて、あれよかったわよ、だったら私も観るわというような、あうんの呼吸で楽しめる友人がいるといい。
社会で起こっている問題も、あの人があんな意見を言っていたからと関連本を読んでみようとか、旅に出て、お互いにその旅のエピソードを報告し合うのもおもしろそう。
球を打てば、打ち返してくるようなおつき合いがいいなあと思うのです。
そして、これからの残された時間を見据えて、私の年代なりの「これからどう生きていくか、いかに人生を楽しむか」というところまで、心を開いて深いおつき合いができたなら、70代後半からの人生の時間は、もっと豊かになっていくのではないかしら。
そんな期待をしています。