「子どもを産んだ人はいい小説が書けない」と言われて

清さんの著書
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清さんの著書『夢みるかかとにご飯つぶ』は、noteで投稿していたエッセイに加筆修正したもの。なかでもnoteでの公開当初から大きな反響を呼んだのが、「子どもを産んだ人はいい小説が書けない」というエッセイでした。

「ある方に自分の書いた小説を見せたら、『子どもを産んだ人って幸せだから、いい小説は書けないんだよ』と言われたんです。それが本当に悔しくて、悔しくて。一晩中眠れず、なんとかして言い返したいという一心であのエッセイを書きました」

この記事がXで話題になったのは、小説家の村山由佳さんが「清繭子さんのnoteがすごくよくて泣いてる」と引用リポストしたのがきっかけだったそう。

「子どものいない村山さんは、逆に『産んだらもっといい小説が書ける』と言われたことがあったそうです。結局、『〇〇だからダメ』なんていう外野の声に、いかに根拠がないかということですよね」

自身のエッセイを通して、「出産したとかしていないとか、女性だとかそうでないとか、そういうことは関係ない。すべての人を肯定したかった」と、清さんは語ります。

執筆は早朝。子育てと夢の両立をあきらめない理由

「これがリアルな散らかり具合のリビングです(笑)」(清さん)
「これがリアルな散らかり具合のリビングです(笑)」(清さん)

現在、5歳と7歳、2人の子育てをしながら執筆活動を続ける清さん。子育てをしながら執筆時間を確保するため、お子さんと一緒に21時に就寝し、4~5時に起きて執筆する朝型の生活を実践しているそう。

「早朝はSNSも静かで、心がまどわされずに集中できるんです」とほがらかに語る清さんですが、そのモチベーションはどこから来るのでしょうか?

「SNSのタイムラインを見ていると、どうしても暗いものやネガティブな情報が人の目を引きつけがち。でも、私たちの本当の日常には、楽しかったことや感動したこと、うれしいことの方がたくさんあるはずなんです。ただ、それをわざわざ言葉にして発信しないだけ。私は自分の子どもをこの世界に連れてきてしまった責任があるから、『この世界はいいところだよ』と伝えてあげたいんです」

自分のいやな感情もひっくるめて、書くことで伝えたい

そう語る清さんの文章には、嫉妬やねたみも含めて、最終的にはそんな自分もすべて肯定する、というスタンスがあります。

「子育て中は、疲れて布団に入ってもついついスマホを見てしまって、気づいたらショッピングサイトのクーポン情報に踊らされてネットで買い物してしまった…なんてこともありますけど(笑)、そんな毎日もひっくるめて愛しい日々だと発信していきたいですね」

日々の生活のなかで自分の「好き」や「夢」を大切にしたいと願う私たちの背中を、そっと押してくれるような清さんの力強い言葉。

やりたいことがあるのに時間がない、とあきらめる前に、まずは少しだけ生活を変えてみる。そんな小さな一歩が、大きな夢につながっていくのかもしれません。

※ この記事は2025年6月にvoicyチャンネル「明日のわたし研究所 by ESSE」で放送した内容を再編集して記事化しています

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