返事に迷ったときに実践している4つのこと

引き受けたい気持ちがあるのに返事に迷ってしまうのは、その予定が入ることで、ほかの業務に支障をきたすことが予測できるからです。こうした状況で決断するために、私が実践していることを整理してみます。

●時期は確定なのかを確認する

たとえば書籍の出版企画などは、「どうしてもいつまでに出さないと」というものではないことも多いので、最初にいただいた出版予定日を絶対と思わずに、自分が集中して制作に取りかかれる時期を相手に伝えて、交渉の余地があるかを確認します。

意欲はあって単にスケジュールの問題であることが伝われば先方も調整してくれるし、もし叶わなくても、またタイミングが合うときに、という可能性を残しながら一旦結論を出すことができます。

●心身のすこやかさが保てることを最優先する 

企画内容だけを見るのではなく、その仕事を受けるとどんな日々になるかを脳内でシミュレーションします。

たとえば海外出張を含めた仕事と聞くと、一瞬は魅力的だけれど、前後のスケジュールで無茶をしては体力にも気持ちにも余裕がなくなってパンクしてしまいます。新たな仕事を入れるなら、もともと入っていた仕事を後ろにずらすなどして量を調整します。

よいパフォーマンスには、すこやかに安定した心身が必要で、そのためには自分のキャパを超える量は抱えない。サステナブルな働き方の感覚を少しずつつかみ始めた40代以降、とくに気をつけていることです。

●自分でなければいけないのかを見極める

フリーランス歴が長くなるほど、この判断基準を重視するようになってきました。すぐに代わりが見つかるなら、なんの罪悪感も持たずに断っていいのです。どうしても自分にやってほしいと熱望されているオファーであれば、無理なくできる条件で相談させてもらいます。

年齢やキャリアにおけるフェーズにもよりますが、今の私にとってはどんな仕事も、楽しさよりストレスが上回るのでは、引き受ける意味がありません。また、やりがいをもって取り組めることはシンプルながらとても大事なので、かける労力に対して報酬が安すぎると感じた場合も、お断りの返事をします。

●最後は「自分らしくいられるか」で決める

数十年も生きてくれば、どういう相手ならリラックスできるか、あるいは疲れてしまうか、経験から知っています。

チームを組むメンバーとの話しやすさや、テンポよくやりとりできるかを、会話やメールから冷静にジャッジして、なんとなく波長が合わないと早い段階で感じた相手は避けて正解。ここに目をつぶって仕事を受けたらトラブル多発、という苦い経験を教訓にしています。 

お誘いを断るときは感じよく

こうして整理してみると、仕事に限らず、さまざまなお誘いに対して適用できる視点ではないでしょうか。

前提として、誘いを受けるにしても断るにしても、返事は早く、そして感じよく、を心がけながら、誘ってもらえること自体はありがたく思い、その感情と判断は冷静にきり分ける。

社会人30年、フリーランス歴も20年を超えて、幾度も味わってきた苦い経験から生まれたマイルールです。

小川奈緒さんの新刊『伝え上手になりたい』(扶桑社刊)は3/21発売。

伝え上手になりたい

伝え上手になりたい

Amazonで見る