すべての女性に「更年期」と「閉経」は訪れる

更年期イメージ画像
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なお、これまで記事では「更年期」とひとくくりにしてきましたが、日本産科婦人科学会によれば「更年期」「更年期症状」「更年期障害」は、以下のように定義づけられています。

・更年期:閉経の前後5年の計10年の期間のこと。これはだれにでも訪れる「時期」
・更年期症状:更年期に起こる、病気をともなわないさまざまな症状のこと
・更年期障害:症状が重く、生活に支障をきたすほど重い状態

「定義の違いでも示されているように、更年期や閉経はあくまでライフステージのひとつ。必ず来る“通り道”なのです。その時期に多かれ少なかれ体調の変化をきたし、更年期症状も例外なく起こります」(粒来先生)

ただ、「症状があっても生活に支障はなく、許容範囲」という人も。「軽い更年期症状」くらいで過ごせるのか、「つらい更年期障害」に悩まされるかは、紙一重のようです。

「更年期」は、だれもが不調になるとは限らない

このことをふまえて、生理の有無、順調・不順に関わらず、気になる更年期症状があるかについてもアンケートで聞いてみました。

更年期症状のつらさアンケート結果グラフ
※45~55歳のデータを抽出

この設問の回答者のうち、45~55歳に該当する人は119人。そのうち17人は「つらい更年期症状がある(更年期障害)」、70人は「更年期症状が少しある」、32人は「生理周期が順調」という結果でした。

このことから、更年期に該当する全員が不調を感じるわけではない状況が見えてきます。

「日本産科婦人科学会での『更年期障害』の定義には、『主たる原因は女性ホルモンの低下による身体的変化であるが、精神的心理的な要因、社会文化的な環境因子が複合的に影響することにより症状が発現する』と書かれています。つまり、その方が置かれている環境や感じている不安により症状は大きく変化するということです」(粒来先生)

更年期はこれからという人は「いつから? どうなっちゃうの?」、更年期にさしかかった人は「更年期かも? どうすればいいの?」、更年期真っただ中の人は「もっとひどくなる? いったいいつまで?」など。今まで元気に過ごしてきた人は、初めて感じる戸惑いかもしれません。

「外来で患者さんと接していると、症状がつらいと訴える方は、仕事、家事、育児、介護などさまざまな理由で『休んでいられない』という、がんばり屋さんが多いように感じます。そこで聞く『つらい』の言葉の裏には、『がんばれないから困る』という意味が込められていると感じます。だからこその不安なのでしょう」(粒来先生)

更年期を前向きにイメージ画像
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ただし、更年期を必要以上に恐れる必要はありません。粒来先生いわく、更年期障害とうまくつき合うには「がんばりすぎないこと」「自分のペースを意識すること」がポイントだそう。

「更年期は体調・体力の曲がり角ですから、本当は無理がきかなくなってくるものです。更年期の『更』は、『更新』のように『新しく変化する』の意味。英語では更年期を“change of life”とも言います。自分のペースを探していただくと、自然と症状も軽くなってくるかと思います」(粒来先生)

クリニックでもらえる薬やサプリメントなど生活に合った対処法を、担当の先生と相談しながら取り入れられるといいですね。