整理収納は自分ひとりが頑張っても、家族との共有部分はなかなかうまくいかないこともあります。そんなときは、片付けが苦手な人に合わせると暮らしも心もラクになります。夫と義母と3人暮らしをする整理収納アドバイザーの原田さよさん(60代)に、50代60代になって取り入れてよかった収納のコツを教えてもらいました。

リビング
義母がよく座っている場所の近くに、義母本人が毎日使うものをまとめて収納しています
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収納の位置決めには基本のルールあり。うまくいかないときに加えたいポイント

家族が出したものを元に戻さず、イラっとしてしまうことはありませんか? 整理や収納は、苦手な人に合わせる方がうまくいきます。つまり、苦手な人でも元に戻しやすいようにするのがポイントです。

また、単に苦手というだけでなく、若い頃にはさほど面倒に思わなかったことでも、年齢を重ねてくるにつれ変わってくる場合もあります。今まではうまく使えていた収納が使いにくくなり、元に戻さなくなってしまうようなことです。

なぜそうなるかというと、膝を曲げにくいとか肩を上げにくいなどの変化だけでなく、「見えにくい」「忘れやすい」ということも出てくるからです。これは高齢の親に限ったことではなく、60代の私自身にも当てはまるようになってきました。そこで今日は、50代60代になってから変えた収納の工夫について紹介します。

いつも紹介しているように、収納の位置決めには基本のルールがあります。

・使っている場所の近くで
・なにかをするときに使うものを、グループでまとめて
・使用頻度が高いものほど、使いやすい場所に

これでうまくいかないときは、「・使う人目線で」というのを加えてください。

収納が苦手な人の立場で考え、うまくいった例

使う人の目線で収納を考えてみると、うまくいくヒントが出てきます。

●洗面所の例

コップ
現在のフックは大きいので、コップを引っかけやすくなりました

たとえばわが家は、洗面所で使うコップの収納を変えました。洗面所でコップを引っかけるのに使うフックを、以前のものよりコップを引っかけやすい大きめのものに変えました。

コップ
以前、洗面所で使っていたフックとコップ。引っかけ穴が小さくて夫や義母には使いにくいと分かりました

以前のものは、引っかけるときに小さめの穴を利用せねばならず使いにくかったようで、家族はコップを洗面台に直に伏せて置きがちだったのです。大き目のフックに変えてからは、家族はそこにかけてくれるようになりました。

●ゲタ箱の例

次の画像は、以前のわが家のゲタ箱の様子です。靴ベラを、ゲタ箱の扉の裏につけた100円ショップのフックに引っかけ、収納していました。夫は初めのうちはここから靴ベラを出して戻していましたが、だんだんゲタ箱の上に放置したり、傘立ての中に突っ込んでおいたりするようになりました。そこで夫から理由を聞き、フックをゲタ箱の外側につけることにしたら、そこに靴ベラをかけてくれるようになりました。

靴ベラ
以前のゲタ箱の様子。靴ベラをゲタ箱の扉の裏につけたフックに引っかけて収納していました

夫に言わせると、靴ベラがゲタ箱の中にあるのは面倒なんだそう。私は、「ゲタ箱の扉をあけて靴ベラを取るのがそんなに面倒?」と思いましたが、私自身が靴ベラをあまり使わないので、夫の気持ちが想像できていませんでした。

靴ベラ
夫の意見に合わせ、ゲタ箱の外側にフックをつけることに。ここなら大丈夫でした

また、靴ベラがゲタ箱の中にあるほうが(外から見えないほうが)スッキリするという思いも私にはありました。でもそれも、こちらの都合です。収納は、それをよく使う人に合わせる、苦手な人の立場になって考えるというのを忘れていたと気づき、変えることにしたのです。