年齢や体力の低下とともに、自分のこれまでの価値観が変わっていくことがあります。50代60代こそ「心の健康」が大切だと教えてくれたのは、著書を多数もつブロガーの中道あんさん。心を健康に保つために実践していることについて語ってくれました。

中道あんさん
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人生後半戦を豊かに生きるためには、心の健康が大切

先日、人間ドックに行ってきました。そこでふと思ったのですが人間ドックでは「心の健康」をチェックしてはくれませんよね。たしかに、心のことは数字で表すのは難しいものですし、メタボのように見た目にも現れにくいものです。だからこそ、自分でしっかりセルフケアすることが大切です。

とくに更年期以降のゆらぎ世代では、これまでとは違った視点から「心の健康」を見つめ直すことが大切だと感じるようになりました。若い頃は、目の前のことに精いっぱい、がむしゃらに走り続ける日々でした。心のケアよりも、体力や努力がものを言う時期だったかもしれません。少々の大変さは、気合や根性でなんとかなったのです。

でも、ふと気づくと、心も体もタフさがなくなっていることに気づかされます。そんな中で、私が実践している「心の健康術」を紹介したいと思います。

1.:「こうあるべき」を手放す

40代の頃の私は、なにかと人や自分に対して「こうあるべきだ」という決めつけをしていました。会社のために自分より仕事を優先すべき、親なら子どもに不便をかけてはいけない――そんなふうに。

でも、「あるべき」が過剰になると、それはもう期待を通り越して支配になってしまいます。自分ががんばるのだから、あなたもがんばって当然というような考えになるからです。今は自分に無理させないように、ありのままを受け入れています。期待を手放すことで、結果として自分の心にゆとりが生まれ、他者への寛容さも増します。少し肩の力を抜いて、まぁええやん。そうすると、心のバランスが戻ってくるのです。

2:ささやかな喜びを見つける

自分の外側に結果を求めていた頃は、だれかから認められたいという承認欲求が大きかったと思います。それが、SNSでの影響力をもつという結果になったとも言えるので、目標に向かってまい進するのは悪くはありません。でもそれが、だれかとの比較になっていたら、自分を責めることにもなりかねないのです。

今では、もっと身近な小さな幸せに目を向けるようにしています。朝のコーヒーの香り、散歩中に見かける季節の花、小さな成功体験――こうした「日常の小さな喜び」を大切にすることが、心を豊かにしてくれます。歳を重ねると、体力の低下やライフスタイルの変化に直面します。でも、それに悲観的になるのではなく、日々の小さな感動を積み重ねていくことが心の栄養になると思っています。

3:人とのつながりをさらに大切にする

人生の後半になると、人間関係も大きく変化します。子どもの自立、親の介護や見送り、定年退職など…。そんな中でも、だれかと新しいつながりをつくったり、関係を深めることが重要です。人との交流は、心の活力を与えてくれるものだからです。

私は、定期的に友人と集まって食事をしたり、趣味の時間を共有したりすることで、自分の心をリフレッシュしています。とはいえ、悩みを打ち明けあったり、深い話をすることはありません。歳を重ねたおかげで、自分のコアな部分は、セルフケアできるようになりました。それよりも、楽しい時間を過ごせることの方が大事です。私の夢は友人を招いて自分の家でホームパーティをすること。想像するだけでワクワクしますね。