検査で異常が出ない、女性に多い特殊な狭心症
もう1つ、ぜひ知っておきたいのが「微小血管狭心症」。更年期世代の10人に1人に生じるといわれる特殊な狭心症です。
微小血管は冠動脈から枝分かれした髪の毛ほどの細い血管で、心臓内部に網の目のように入り込み、心筋に酸素と栄養を補給しています。この微小血管が何らかの原因で痙攣して起こる病気です。
すべての画像を見る(全2枚)夜寝る前やデスクワーク中などの安静時に突然、胸やおなか、奥歯、あご、腕や背部などの痛みや吐き気が始まり、みぞおちの痛みや圧迫感、呼吸困難感に襲われる。症状は5分から10分以上続き、たびたび繰り返される――。普通の狭心症と違って冠動脈に異常は見られず、検査に表れないため診断の難しい病気です。
天野先生が微小血管狭心症の存在を初めて学会に報告したのは、今から40年も前のことでした。患者の約7割が女性で、更年期女性の10人に1人に起こる、決して珍しくない病気なのですが、今も医療現場で広く知れ渡っているとはいえません。まずはこのような病気があることを知っておき、症状に思い当たるときは女性専用外来の循環器内科の医師にかかるのがよいでしょう。