団地での暮らしが今、注目を集めています。団地で生活すること40年以上、ESSEなど暮らし系のメディアで活躍するライター・佐藤由香さん(50代)が、実際に感じているメリットを紹介。とくに、50代以降の人、ひとり暮らしのひとは参考に。
団地に住んで40年以上。50代からの「住まい」問題
すべての画像を見る(全5枚)ニュースやSNSなどで、よく見かけるようになった「団地暮らし」というワード。最初に聞いたときにびっくりしました。
私自身が子どもの頃から団地で育ち、人生の40年以上を団地で暮らしている生粋の団地人間だから。10年前、今の団地に引っ越したときは条件的にいちばんよかっただけで、どうしても団地に住みたくて選んだわけではありません。いつの間に人気になったのかと驚いたのです。
しかし、時代はめぐり、団地のコンパクトな住まいに魅力を感じて50、60代の住み替え候補にも挙がるくらいだとか。たしかに人生後半戦に入って、住まいをどうするかは大きな問題。私も、その問題に直面したのは52歳のとき。夫が突然死したことがきっかけでした。
夫亡きあとも、団地に住み続ける理由
当時、夫は単身赴任、私はURの賃貸団地に住み、お互い行き来する生活。子どももいない転勤族だったので、持ち家は考えていませんでした。
「リタイヤしたら好きな場所で暮らすのもいいよね~」「そのあとは2人で老人ホームに入ればいいよね」なんて話を夫としていたのに、夫は56歳という若さで急逝。失意のどん底に突き落とされ、人生プランがガラガラと崩れました。
戻る実家はないし、今の家に住み続けるか、老後のために小さい中古の分譲マンションでも買ったほうが安心なのか。それとも、もっと家賃が安い家を探すか…。
当たり前のように考えていた夫との暮らしが叶わなくなったとき、初めて“終の棲家”を意識したわけですが、結局、「団地ほど気楽で便利な家はない」という理由から、そのまま住み続けることにしました。
当然ですが、住まいはその人、家族の状況によってメリット、デメリットも変わり、団地暮らしが合う人、合わない人がいます。でも、私のように50代おひとりさまという立場で考えると、URでの団地の賃貸暮らしは合理的でよいところがたくさんあると感じたのです。以下に、筆者が実際に暮らして感じたURの賃貸団地のメリットを5つ紹介していきましょう。
メリット1:保証人の心配が少ない
現在の団地の前に住んでいた借り上げの社宅アパートは、夫が単身赴任したあと私の名義で契約をしていましたが、更新のたびに保証人を立てるのが非常に面倒でした。
公営の団地は、保証人不要で入居でき、更新料もない場合が多いです。高齢になると民間賃貸は借りにくくなると言われていますが、URに関しては心配無用です。