日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「肉食と草食で結婚したパターンは悲劇でしかない」と語るのは専業主婦の邦子さん(仮名・60歳)です。行為がなくなってから、夫との関係にどのような変化があったのでしょうか? 20年を超えるレス生活のリアルな実態を赤裸々に語っていただきました。
すべての画像を見る(全4枚)「いい子」な男と結婚してしまった顛末
行為をしたがらない夫を問い詰めた結果、結婚1年目で完全にレスとなってしまった邦子さん。当時はまだ40歳手前。「このまま私は女として枯れていくの? という焦りと不安を毎日感じていた」といいます。
「今になって思えば、夫は私と出会うまで女性と関係を結んだこと自体、少なかったのかもしれません。大学も一浪して入って、一年留年。卒業後も親元で暮らしながら、司法試験にチャレンジし続けて四年目でやっと合格したと言っていました。いわゆる天才ではなく、ガリ勉で苦労しながら弁護士資格を取った人。性的な興味がわく時期に、ずーっと勉強ばかりしていた“いい子”だったんじゃないかなって思うんです」
一方の邦子さんは、60代になった現在も子どもの頃の面影を残したかわいらしい雰囲気。学生時代から、彼氏が途切れたことがなかったというのもうなずけるレベルの美人さんです。結婚前はどういう人と交際していたのかという部分も聞いてみました。
「うちは、父親がダメな人だったせいか、私もついついダメンズばかりを引いてしまっていました。ああいうのって、影響受けちゃうんですよね。加えて私は証券会社の正社員。昔で言うバリキャリで、そこらへんのサラリーマンより稼ぎがよかったので、一人で生きていけるって思っていたし、つき合う相手に稼ぎを求めていなかったんですよ。彼氏はみんな性欲旺盛な肉食男子ばかり。だから世の中に、性行為が嫌いな男性がいるなんて想像もしてなかったんです」
結婚から1年で愛は完全に冷めた
お見合いの席で初めて夫と対面したときに、ビビっときた理由は、整った顔立ちと弁護士というハイスペックな職業。「今までにつき合ってきた男とは雰囲気からして違いました。それで“運命”ってこれか! って勘違いしちゃったんです。もっと性的な部分の相性を見極めれば人生が違った」と明るく話す邦子さんですが、実際、20年の結婚生活のうち、19年以上は暗黒世界の中をさまよっている状況だったと振り返ります。
「私は夫に『もし精神的なものからくるレスならば、一緒に病院へ行こう』とまで言ったんですよ。けれども『そうじゃないけれど、したくない、できない、行為が好きじゃない』と逃げてばかりでした。原因もいまだによくわかりません。それで、結婚から1年で夫への愛は完全に冷めちゃったんですよね」と邦子さん。
「料理も簡単なものですませるようになったし、お風呂もシャワーですませてもらって、ワイシャツは近くのクリーニング屋さんが1枚100円だったので週末にまとめて出すようになりました。夫もレスが原因で私の愛が消えたことに気がついていたと思いますよ。それまでは丁寧な暮らしだったのが、すべてがいい加減になりました。幸せとは程遠い殺伐とした雰囲気でした」