仕事以外の楽しみのために始めたテニスで体力アップ

――一田さんが習慣として取り組んでいるのが、およそ4年前から始めたテニス。中学・高校・大学と続けてきたテニスを50代で再開した理由は?

一田憲子さんのテニスラケット
学生のときにやっていたのは軟式テニス。今は硬式でボールの打ち方がまるで違うのだとか。週に2回はレッスンに通っています
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一田:私は仕事が大好きな人間なのですが、あるとき話を聞いてもらった心理カウンセラーの方に「一田さん、24時間365日仕事のことばっかり考えていると、仕事がなくなったらポキッと折れてしまうかもよ」と指摘されて、仕事以外に夢中になれるものを探したんです。で、思いついたのが学生時代にやっていたテニス。最初は全然できない自分が悔しくて。筋肉痛は1か月も続くし。パーソナルのコーチまでつけて夢中に練習をしていたら、いつの間にか体力もついて。おかげで夜はぐっすり眠れています。

 

――健康的な生活ですね。ただ、一田さんのように運動習慣がない人にとって、なかなか体を動かすのは難しいようです。運動は体にいいと分かっているのですが…。

一田:取材で会ったガラス作家さんがヨガをやってたんです。「ヨガってメンタル的にもいいんだよ」って聞いて興味を持ったのですが、私ね、めちゃくちゃ体が硬いんです。「ヨガなんて無理~」って思っていたのですが、ヨガをすすめてくれた方の「ずっとやってたら絶対やわらかくなるから」という言葉を信じ、週1でヨガ教室に通って、家でもストレッチをして。そしたらね、こうやって長座をして腕を伸ばして…手で足をつかめなかったんですけど、ほらね! 今はなんとかできるようになったでしょ?
(と、その場でお披露目してくれる一田さん)。

歳を取るとできないことが増えてくるけど、1日1個ずつやってきたことができるようになると、「歳をとっても続ければできるじゃん!」って思えてうれしくなるの。

 

――著書にある「がんばればなんでもできる」と思っていたけど、歳をとるほどに弱さや限界を発見する。「ままならぬこと」があるからこそ「今日できること」が一層ありがたく感じられる、そんな一田さんの言葉も印象的でした。

一田:若いときは心や体がカチコチになっていても気力や体力で乗り切れたし、熱が出ようが、がんばれたのだけど、今は体の声を無視するととんでもない見返りがあるから、自分でも工夫しなくちゃしょうがなくなってきてますよね。若い頃はずーっとエンジンをふかし続けてきたけど、それをずっとやっていると疲れてくるしね。