見た目のジェンダーレス化を救うのは、かわいいブラウス
――年齢を重ねると、自分のなかの女子度が減ってくるような…。一田さんがハマっている、フリルやギャザーがついた、かわいいブラウスにときめきます。
すべての画像を見る(全4枚)一田:シンプルでコンサバな服を着ると、地味に見えることが増えたんです。若いときは鎖骨にもハリあるから襟ぐりが開いたカットソーもおしゃれに着こなせたんですけど、それがどんどん似合わなくなってきて。この歳で着ると、まるで部屋着やパジャマ!
これまではボタンダウンのようなメンズライクな服が好きだったんですが、そういうのを着るとおじさんになるんですよ。見た目もジェンダーレス化してくるんでしょうね。だからフリルやギャザーがたっぷり入った、ちょっと甘めのブラウスをよく着ています。アイロンをかけて生地をパリッとさせると、気持ちまで違いますよ。
――おじさんはおばさんに、おばさんはおじさんに見えてくるような…。確かに、見た目のジェンダーレス化は進みそうですね。ただ、今の自分を客観視することって、歳をとってくるとなかなか難しい。似合わない服が増えてくることに気づかないし、更新もできない部分も出てきます。
一田:なかなか指摘してくれる人もいないですしね。私は、取材を受けるなど、自分を客観視する機会で気づくことが多いので、インスタにアップしなくてもいいから自分の姿を写真や動画で撮影するのはいい方法かな、と思います。お気に入りのセーターがすごく太って見えるんだな、など頭の中に描いていた自分と違うことに気づくきっかけになるかもしれませんね。
おいしいパンを添えたランチセット、仕事を忘れて夢中になれるテニス、真っ白な甘いブラウス…お気に入りに囲まれたささやかな暮らしが、一田さんの心を健やかにしているのかもしれません。
一田さんのエッセイ『歳をとるのはこわいこと? 60歳、今までとは違うメモリのものさしを持つ』(文藝春秋刊)には、仕事、健康、家族、介護、更年期…人生後半戦でひたひたと忍び寄ってくる不安や心配ごと。そんな「怖い」を少しずつ手放し、笑顔で歳を重ねるためのヒントが詰まっています。