賃貸物件を探している人や不動産購入を検討している人が参考にする不動産広告「マイソク」(物件の概要、間取り図、地図などをまとめた資料の通称)。情報量が多くて、初心者が大事なことを見落とすケースもあります。そこで『リライフ』編集部が、東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の井出武さんに、チェックすべき11の項目を聞きました。
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マイソクとは不動産広告の基本になっているもの
マイソクとは案内図面、広告図面、広告表のようなもので、語源としては「毎日速報センター」が由来といわれています。
なお、「毎日速報センター」とは、元づけ業者(売主から直接、買主探しを依頼された不動産業者のこと)から、依頼を受けて不動産情報を印刷した物件情報図面を、ほかの不動産業者に配布する事業で、1991年に「毎日速報センター」とアットホームが業務提携を行い、94年に株式会社マイソクと社名を変更しました。
現在も、不動産広告は、これが基本となっています。そこで、マイソクを読み解く11の項目(以下カッコで表示)を解説。しっかりおさえて、ベストな物件探しに役立ててください。
1.「間取り図」に書かれているPS、MB、Sってどういう意味?
まずは、間取り図についてです。
マイソクに出ている間取り図だけで決めるのは危険。というのは、実際に物件を見に行ったら、マイソクの間取り図と少し違う…ということはよくあるからです。
最近はオンライン見学会や、ウェブで物件の動画や写真だけを見て購入する人もいますが、新築でも中古でも、基本的に実際に見に行くことが大前提。できれば朝と夜、晴れの日と雨の日など、時間帯を変えるなどして何度か見学に行くのが理想的。
以下、間取り図で使われている用語のなかで、意味がわかりにくいものをまとめました。しっかり覚えて、チェックを忘れずに。
・PS:パイプスペースの略。配管が通っているスペースのため、収納などには利用できない
・MB:メーターボックスの略。電気やガス、水道の料金算定に必要なメーター類が一括収納されているスペース
・S:サービスルームの略。N(納戸)やDEN(英語で洞穴や穴蔵という意味)と記載されることも。洋室、和室など部屋として表記するには採光の規制があり、窓がない場合や一定の時間日が差さないと部屋として認められないため、このような表記に。コロナ禍以降は書斎や仕事部屋と記載されることも
2.「土地権利」は所有権or借地権?しっかり確認を!
「所有権」と記載されている場合、マンションの建物だけではなく、土地に関しても所有権があります。一方、「借地権」と記載されている場合、建物の所有権は持つものの、土地の所有権は持ちません。
借地権とは、土地を第三者に借りて自宅を建てる権利のこと。土地を所有しないため、土地に関する固定資産税を支払う必要はありませんが、地主に毎月「地代」を支払う必要があるほか、借地契約の更新や売却時に手数料が発生します。
借地権には、「普通借地権」と「定期借地権」の2種類があります。「普通借地権」の場合、契約が満了しても更新することで住み続けることができ、正当な理由がなければ、地主側から更新を拒否することはできません。「定期借地権」の場合、契約期間は50年以上ですが、契約期間が満了した場合は更地にして土地を返却する必要があります。