●家のことはできる方がやる。夫婦で思いやるからこそ、うまくいく
すべての画像を見る(全2枚)――ご夫婦がお互いを思いやる、そんな関係性がすてきですね。夫婦げんかなどをすることはあるのでしょうか?
劔さん:妻は、自分が割と怒りっぽいことを自覚していて、意識的に矯正しようとしています。僕も妻の気が短いのをわかってるいので、そこを過剰にフォーカスしないというか、気を取られないように意識しています。お互いの性格を理解しておくだけで、相手の受け止め方も、自分の対応も違ってくると思います。
――お互いを理解していれば、無駄な衝突は避けられそうですよね。
劒さん:僕は1つのことしか割とできなくて、妻は逆に複数のことをできる。お互いのない部分を補っている感じです。
――犬山さんは、お仕事柄、多くの女性の悩みをたくさん耳にしているからこそ、家で家事をやってくれている主夫の劒さんに対して、外に出て働いている自分は「こういう言い方はしてはダメだ」と、わかっているのかもしれませんね。
劒さん:それはすごくあると思います。うちの場合、夫婦の立場が多くの家庭と違って逆転しているけど、妻はちゃんと女性側と男性側の気持ち、両方の立場も理解しているのだと思います。妻の方が全体像がよく見ているほうなので。
――劒さんの普段の家事について理解しながら向き合っているということですね。
劔さん:普段は僕がメインで家事をやっているけれど、じつは僕は片づけが苦手。だから手があいているときは片づけが得意な妻がやってくれます。また、僕が忙しかったり、体調が悪かったりするときは、シッターさんやウーバーイーツを利用したり。できないときはできない、そこは妻もわかっています。どちらかに負担がかかり過ぎないよう、スケジュールは共有していますし。なんなら僕のスケジュールまで、妻のマネジャーさんも把握している感じです。
●「稼いでいるほうが偉い」という考えはNG
――「稼いでいる方が偉い=だから夫が偉い」というパワーバランスになってしまう夫婦が多いように思います。女性側も「自分は稼いでないから、家事をしっかりしなくちゃいけない。家事をしっかりしなくちゃいけない」というバイアスがかかっている気がします。
劒さん:稼いでいる方が力をもってしまうと“まずい”と思うんです。それはうちの夫婦の共通認識です。一般的に共働きですと、夫の収入の方が高いことが多いと思います。収入的には弱い立場である妻側が、夫側に向かって、「もっと家事や子育てに協力的になってほしい」などと要望などを伝えても、なかなか難しいところがある。やっぱり、夫婦関係でどちらかが力をもちすぎる関係はいけない、と意識をしておくことがいちばん大事なんじゃないかなと思いますね。相手にわかってもらうことは難しいと思うんですけど、繰り返し伝えたり、話し合ったりすることが大事なんだと思います。
劔さんの周りのミュージシャンたちが実際に経験した怖い実話を集めた『怪のリディム』(扶桑社刊)は、発売中です。