●つくることよりも「献立」づくりが大変だった

――お話を伺っていると料理をつくることよりも、“献立”をつくる方が大変だったのかと感じたのですが、いかがでしょうか?

阿川佐和子さん
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阿川:そう、献立が辛かった。寝てても、献立のことがよぎるんですよね。(食材の)あれがあるから別のものと組み合わせて…昨日出したものをなんとか加工して…こっちの野菜は早く使った方がいいから…みたいな。なんとかどうにかしようとか、うなりながら考えてました。

朝ごはんのときに夫に「晩御飯なににする?」って聞いても、「今おなかいっぱいだから考えられない」、「好きなもんで、簡単でいいよ」とか「少なくていいんだよ」とか言われるのよね。言葉は優しいんだけど、じゃあつくってくれるってわけじゃないですから、ねえ…。

――そういった日常の会話で、意見が合わなくてギスギスすることはなかったのでしょうか?

阿川:ありますよ。でも、笑いの方向にするのが好きっていうのはあるわね。この怒りは、他人から見たら笑いにしかならないっていう。大抵のことはそうですよ。だれかが怒ってるのは、横で見てる人間にはコメディにしか見えないじゃない? なりふり構わず怒っている人見てるとおかしいじゃない。

夫は、私が怒ってると「また文句ばっか」とか言って、フラッといなくなるんです。私も我ながら、父に似ている人間でイヤになっちゃう。父と似た人とは結婚できなかったと思います