●朝昼晩と3食つくるのは本当に大変!

――著書には阿川さんが食材選びからの料理工程も書かれていますが、冷蔵庫からさまざまな食材が出てくる描写は「冷蔵庫」の大冒険という感じがしてとてもワクワクしました。

阿川佐和子
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阿川:コロナ禍のステイホーム期間中に書いたエッセイなので、冷蔵庫にあるものでなんだかんだと料理をしたエピソードが多くなりました。「これは化学の実験の本ですな」なんて言った人がいたくらい。あと、「あなたの冷蔵庫信仰はいきすぎです」なんて言葉も(笑)。

「冷蔵庫に入れておけば安全ってことはないですよ」って。冷蔵庫に入れてもカビは生えますもんね。でもあら、カビだ、なんて言いながら食べちゃったりして。実験ですね、食べても大丈夫かの…実験(笑)。

――阿川さんは台所仕事をめんどうだと感じることはないのでしょうか?

阿川めんどくさいとは思いますよ。コロナの前は仕事で忙しいから毎食つくっていたわけじゃないですし、つくりはするけれども、週に2回、多いときは3回くらい外食をしたり、朝はつくっても昼はつくらないしね。

「サワコの朝」や「週刊文春」の連載、テレビ・ラジオ出演、親の介護があって忙しかったときには、夕方帰ってきて晩ご飯つくるときに、さすがに「もうキレた! もう無理―!」ってヒステリー起こしたこともありました。

それが緊急事態宣言の間は朝昼晩とつくったでしょ。それもひとり暮らしならいざ知らず、夫がいるっていうことになると、ね。1人ならつくるのめんどくさいと思ったら、自分が我慢したり、なにかつまむだけでもいい。もうちょっと食べようかな? っていうときも、「一品でいいや」ってなりますよね。

でもやっぱり夫がいると一品じゃ悪いと思うし、お肉とサラダとスープとかみそ汁とか、それから前菜と酒のつまみ…って考えると、トータル7~8品ぐらい並べることになるから、それはめんどうですよ。

――7品はすごいですね! それだけつくるのは大変じゃないですか…?

阿川:それは、「今日食べないと腐るから早く食べなきゃ」とか私自身の都合もあるというか。そんな事情もあると7~8品になるんですけど、よく見るとどれも立派な料理ではないんです。そういうわけで、私は本当に主婦の皆さまというか、普段から3食つくっている人を尊敬し直しました。