きれいに片づく住まいには理由があるものです。「家づくりの際に、必要な場所に必要な収納スペースをつくっておくことで、片づく住まいは実現します」。そう語るのは、一級建築士の青木律典さん。片づく収納スペースのつくり方について、自身が設計した事例を交えてご紹介します。

玄関回りの収納アイデア
玄関回りの収納は、使う場所の近くに!扉を鏡にすると姿見も兼ねて便利
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玄関回りの収納は壁に埋め込と、すっきり片づいた印象に

まずは住まいの出入口、玄関回りの収納から紹介します。

玄関の収納ですぐに思い浮かぶのは、靴の収納です。一般的に靴の収納は、飾り棚を兼ねた家具のような収納をつくることが多いでしょう。一方、壁の中に埋め込まれた収納をつくることもできます。

上の写真が、後者に該当します。右側の木枠が玄関扉、その手前の扉が靴収納です。このタイプの収納のよいところは、壁の中に埋め込まれているので、余計なでっぱりがほとんどないところ。すっきりとすることです。靴をきちんと収納して片づけることができるうえに、玄関になにもない状態をつくれます。

 

玄関扉の枠と一体となるようにつくった傘収納

この事例では、玄関扉の枠と一体となるように、傘収納もしつらえています。傘収納の扉には、全面に鏡を貼っているので、収納の扉が閉まっているときには姿見として使用しています(写真左が傘収納、右が靴収納)。

この事例のように、使う場所のそばに適切に収納スペースを確保しつつ、なにか別の機能をもたせると便利。気持ちよく、効率的に暮らせます。

 

キッチン収納は、カウンターのそばのパントリーが便利

キッチンの収納プラン

次に紹介するのは、キッチン回りの収納です。キッチンカウンターそのものには、計画的に収納スペースを考える方が多いと思います。ただ、それだけでは不十分。なにをどこに収納するかを考えて、引出しや扉を計画していきましょう。

加えて、パントリーについても検討してみましょう。キッチンカウンターのそばに、ざっくりとものが置ける収納スペースがあると、とても便利です。この写真の事例では、エアコンの奥右側がパントリーの入口になっています。

 

パントリーの入口

左手の奥まった部分にパントリーがあります。

 

パントリー内部

パントリーには、使用頻度が高くない調理器具や調理家電、缶詰などの食材をストックします。ダイニングやリビングから、中が見えないので、見栄えを気にすることなく、ラフに使えます。

こうした役割のある場所が、キッチンのそばにあることで、キッチンがすっきり。加えて、作業効率が格段によくなります。

 

リビングやダイニングには、収納と一緒に家族の居場所を複数つくると楽しい

続いてリビング・ダイニングの収納です。筆者の場合、リビングにはテレビボードを兼ねた収納をつくることが多くあります。そのほかに、家族で共有するものをしまって置く場所をつくることも。こうした収納があると、くつろぎの場ができやすくなり、居心地がよくなるのです。

 

図書室

上の写真の正面に見えるのは「図書室」です。家族で共有する、本や小物などを収納しておく本棚を、壁一面に設けました。この場所で、子どもたちが本を読んだり、夫が畳の床でくつろいだりしているそうです。

収納と一緒に家族の居場所を複数しつらえると、そこが自然にお気に入りの場所になるものです。もちろんバランスを考えることは必要ですが、こうしたお気に入りが、住まいのあちこちにあると、その時々の気分に合わせて居場所を選べるように。

筆者のこんな家づくりが、住まい手からも、実際に気に入ってもらえているようです。