子どもがいくつになっても、何かと自分の言う通りにさせたがる…。そんな母親をもってしまった場合、年末年始などのたまの機会にしか会わないとしても、言葉の刃にいちいちストレスを感じてしまう人も多いでしょう。著書『母のトリセツ 』(扶桑社刊)のなかで、「母親と自分のコミュニケーションにおいて、互いの傷をできるだけ少なくするアイデア」を提示する脳科学者の黒川伊保子さんは、「母親のいうことを鵜呑みにしなくていい」と語ります。その理由はなぜなのでしょうか? 教えてもらいました。

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親の言うことは絶対はじつはあてにならない?(※写真はイメージです。以下同)
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母親が子どもに常識を押しつけるべきではない理由

小さい頃、常に自分とともに時を過ごす母親は絶対的な存在です。それゆえ、多くの人の頭に刷り込まれるのが、「親は正しいもの」という考え方です。ただ、これに対して、「仮に善意の言葉であっても、親の言うことはじつはあてにならない」と語るのは、脳科学者の黒川さん。今回はその根拠について語ってもらいました。

 

●親と子は身体的にも大きく違うもの

 

「親は誰でも、『自分の正解』が『世界の正解』だと信じて、良かれと思って、それを強要してきます。ただ、じつはそれは大きな間違いです。なぜなら、人間は脳や体の使い方が違えば、考え方が全然違うからです」

たとえば、体の使い方ひとつとっても、その違いは歴然としています。

 

「人間には、指先に力と意識が集中するタイプと、手のひらに力と意識が集中するタイプがいます。驚いたとき、上体を上げる(ひょんと跳び上がる、または、肩を上げてすくめる)人もいれば、上体を低くする(肩を低くして身構える、または、のけぞりながら後ずさる)人もいます。実は、前者が指先に力と意識が集中するタイプ、後者が手のひらに力と意識が集中するタイプと、まったく違う体の使い方をしているのです」

 

その理由は、腕や足にある骨の使い方にあります。人間の腕と脚には、人差し指につながる太い骨(橈骨、脛骨)、薬指につながる骨(尺骨、腓骨)が存在します。手のひらや足の裏の確度を変えるなど、なにかの動作を開始するとき、これらの骨を回旋させる必要があるのですが、二つの骨を同時に回旋させると、バランスが取れなくなるので、どちらかを優先して回旋させることになります。どちらに骨を回すかで、体の動きは変わってくるのです。

「このとき、人差し指側の骨の回旋で動作を始める人と、薬指の回旋で動作を始める人がいます。さらに、回旋の向きにも中指側に回旋するタイプと、親指または小指側に回旋させるタイプの2種類がいます。体幹と手足のコントロールは、小脳が担当しているのですが、そう考えると、小脳のコントローラが都合4種類あるといえますね」

●親子でタイプが異なる場合は厄介です

親と娘

人差し指を中指側に回旋させて動作する人は、驚いたとき、上体がひょんと上がるタイプと肩を上げて固まるタイプがいます。人差し指を親指側に回旋させる人は肩を下げて身構え、薬指を小指側に回旋させる人はのけぞります。

「人差し指を中指側に回旋させる2タイプは、指が中央にまとまり、指先に意識と力が集中する『指先』派。親指側・小指側に回旋させる2タイプは、指が広がるので、手のひらに意識と力が集中する『手のひら』派。このタイプは生まれつき決まっていて、一生変わりません。親と子で、これが違うとけっこう厄介です。親と子はこれが揃うとは限りません」