「このところ、どうも花粉症がひどくなった」…もしかしたらそれは、更年期の不調のひとつかもしれません。
ほかにも、「『近頃よく眠れない』『やる気が出なくて疲れる』『ちょっとしたことに腹が立つ』など、若いときにはなかった不調が現れたら、更年期も視野に入れましょう」と話すのは、産婦人科医の吉野一枝先生。更年期に現れる体や心の不調について詳しく伺いました。
症状はさまざま!更年期の体と心の不調
更年期とは、閉経前後の約10年間のこと。この時期の体の不調は、女性ホルモンが減少しているにもかかわらず、脳から卵巣に「ホルモンを出せ」という指令が出続け、そのバランスの崩れから自律神経が乱れることで生じます。その症状は多岐にわたり、重なって現れる場合も。
また、精神的にも不安定になりやすく、心の不調を訴える人も少なくありません。以下のような不調を感じている人は、「年のせい」とやり過ごさずに、一度きちんと症状に向き合ってみましょう。
<体の不調>
●体重の増加代謝が落ち、食べる量は変わらないのに太る
●のぼせ・ほてり・発汗突然暑くなったり、大量の汗が出る。「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状
●関節痛・しびれ寝起きや、じっとしていると関節痛やしびれを感じる
●冷え顔は熱いのに足先や手先が冷えるといった、部所ごとで違う症状が出ることも
●頭痛脈打つような「片頭痛」や締めつけられるような頭痛などいろんなタイプあり
●疲れやすい・だるいすぐ疲れるので、積極的に動くことを避けてしまう
●肌の乾燥・かゆみ肌のきめが粗くなり、シワが増え、かゆみが生じる
●不眠・睡眠障害寝つけなかったり、睡眠が浅くて何度も起きたり。逆に眠くてたまらない場合も
●肩こり・腰痛女性ホルモンの減少による血流の滞りから起こる
●薄毛・抜け毛髪のハリやコシがなくなるのに加え、抜けやすくなる
●めまい・耳鳴り自律神経の失調などによる。めまいと耳鳴りが同時に起こる場合もある
●頻尿・尿漏れトイレが近い、くしゃみしたときなどの「ちょい漏れ」
●花粉症・アレルギー免疫系の不調からアレルギー系の病気を発症しやすい
●ドライアイ・ドライマウス・ドライヴァギナ目や口、膣の粘膜が乾いてカラカラした感じがする
<心の不調>
●イライラするちょっとしたことに腹が立ち、感情を抑えられずに暴言を吐くことも
●やる気が出ない・うつっぽくなる明朗快活な人がネガティブになるなど、体力の低下に伴い気力もダウンしやすい
●落ち込むイライラのあと、ほとんどの人が落ち込み、自分を責めてしまいがちに
●被害者意識にかられる「自分は悪くない」「相手のせいだ」と被害者意識にかられ、相手を責めてしまう
●暴力的・攻撃的になる負の感情が爆発することで、家族との口論から思わず手を上げてしまうケースも
●涙もろくなる感情の起伏が激しく、普段泣かないような場面で涙が止まらなくなったりする
●気になる不調は、我慢しないで婦人科を受診しましょう!
今までなかった不調が現れたら、まずは更年期も視野に入れて診断してくれる婦人科に相談を。
ホームページなどを確認し、女性医療に理解のある病院や、「更年期外来」があればベターです。血液検査で女性ホルモンの値を計測したり詳しい問診で、更年期なのかただの不調なのかがわかります。
受診時には、困っている症状やここ半年の月経の状況などを書いた「健康メモ」を持参すると、診療がスムーズです。
●更年期と思っていたらほかの病気が見つかることも
すべての不調が更年期を原因とするわけではありません。この時期かかりやすいリウマチや膠原(こうげん)病などの自己免疫疾患、子宮や卵巣の疾患、生活習慣病、骨粗しょう症などが隠れていることもあるので、検査は大切です。