もしも、急に倒れたら? もしも、救急搬送されてしまったら? もしも、そのままこの世からいなくなってしまったら? 持病や既往症がある人ならずとも、だれもがそんな心配をするコロナ禍です。
自身も乳がんから生還した「がんサバイバー」のライター・坂元希美さんは、ダイソーで「もしもノート」を見つけて記入しているそうです。詳しく伺いました。
40代からダイソーの「もしもノート」で終活。急な発病、入院時にも
終活の実感はなく、エンディングノートを書くほどの覚悟もできていないアラフィフの一人暮らしの私。なんとか手軽に「もしものとき」に備えた書きおきをつくろうと、ダイソーの「もしもノート」シリーズを購入してみました。
ダイソーの「もしもノート」は5種類、各A5サイズで16ページです。
・けんこうノート
・おかねノート
・おつきあいれんらくノート
・じぶんノート
・うちの子ノート
しっかり記入しようとすると、なかなかやる気が起きないもの。今回は「もし、新型コロナウイルスに感染して、自宅療養中に急変したら?」という具体的なシチュエーションを想定して、けんこう、ペット、おかね、おつきあいれんらくの4冊を購入しました。
●既往症や薬について伝える「けんこうノート」
私は大きな既往歴がいくつかあり、現在も服用している薬がけっこうあるので記入すべきことがたくさんあります。でも、ページに沿って記入していくと、自然と必要なことが埋まっていくので意外と簡単でした。
お薬手帳を見ながら記入すると、病院名やその連絡先なども記入できます。緊急時に備えることが目的なので治療時期は年月日のうち年だけ記入。
「介護が必要になったら」「治療のそのあと」など人生観をもってしっかり考えなければならない項目は、とりあえず大まかに記入しました。
●保険や年金、コレクションについてまとめる「おかねノート」
毎月の収入、支出、年間の出費イベントやライフプラン貯蓄などから始まりますが、フリーランスでいずれも不安定なので、とりあえず飛ばします。
銀行口座、クレジットカード、貯蓄、電子マネー(最近だと重要ですね!)、保険、年金といった情報を記入していきます。
とはいえ、すべてを記入するとなると途中でくじけそうになるので、「もしものとき」に必要になりそうな、引き落としのあるメインバンクやリビング・ニーズ特約のある保険から記入していきました。
後半には「私の大好きなモノやコレクションの情報」について記入するページがあります。なにかの熱心なコレクターでなくても、書籍やCD、高価な洋服や着物を所有している人は「もしものとき」に託した人が困らないように記入しておけると思います。
●“もしものとき”を伝えたい人のための「おつきあいれんらくノート」
今はスマホやパソコンの中にアドレス帳が入っていて、めったに取り出すことはありませんね。しかし、これらはセキュリティが堅固になる一方で「もしものとき」に取り出しにくくなるので、紙に記しておく必要性を感じます。
ノートには親族、ファミリー・ヒストリー(系図)、贈答の記録などもありますが、まず一報を入れるべき家族や友人などの情報から記入していくことにしました。
友人は全員を記さなくても、キーパーソンとなる人を記入しておけば、そこから知らせてほしい人たちに拡散してもらえると思います。
「習い事やサークルの連絡先」にはFacebookなどSNSのログイン情報を記入しました。
Facebookには「追悼アカウントの設定」の項目があり、死亡後にアカウントの管理を任せる人を選択したり、アカウント削除をリクエストしたりできる設定があります。
ほかのSNSもキーパーソンにログイン情報を伝えられれば、そこでの繋がりのある人に通知をお願いすることができますね。
●ペットを飼っている人は必須の「うちの子ノート」
飼っているペットの情報を記すノートです。とくに一人暮らしだと、急な入院でもペットが取り残される事態になりかねません。
うちは老猫がいますが、どんな動物も個性がありますし、持病など特別な事情のある子のことはきちんと伝えなければヘルプしてくれる人を困らせ、ペットにも苦痛になります。
飼い主の「もしものとき」に頼める人・施設、代わって飼い主になってくれる人・施設のページはとても重要です。これは記入するだけでなく、あらかじめ施設を探したり、お願いしたい人に相談しておく必要があるでしょう。
ペットは自力で生きていくことができません。ですが、「もしものとき」に救急や警察はどうすることもできませんし、だれもが救いの手を差し伸べられるとは限りません。愛する伴侶動物のために、飼い主が「もしものとき」をしっかり想定しておく必要があると肝に銘じました。
●もしもノートの保管場所をどう伝える?
さて、「もしものとき」に必要な情報を記載した4冊のノートができましたが、いざというときにこのノートの存在がわからなければ意味がありませんね。
私は救急隊が入ってきたときを考えて、一人暮らし高齢者の「救急医療情報キット」にならうことにしました。
これは自治体によって違いがありますが、緊急時に必要な医療情報をキットに入れて冷蔵庫に保管し、玄関や冷蔵庫の扉にキットがあることを示すステッカーを貼っておくことで、救急隊などが見つけられるようにする仕組みです。
私は玄関の内側に「医療情報などを記したノートが○○にあります」という小さな貼り紙をしておくことにしました。
「もしものとき」は、いつやってくるかわかりません。独居であればだれが見てもわかりやすい情報を、取り出しやすくしておくことが大切です。同居する家族がいる人は、忙しくてつい任せっきりになっているお金の出入りや、詳しく話していない医療情報などを共有することが大切でしょう。
そして、自分が望む医療やケアについて前もって考えて話し合ったり、取組情報を共有する「人生会議」をしておくことも重要です。大型連休や年末年始など、まとまった時間のとれるときに「もしもノート」を作成して、変更や追加を毎年、追記していくとよいと思います。