ピルを服用してから数日~数週間程度は、ホルモンが安定せず、吐き気や頭痛、むくみといった症状が出る場合があります。こうした副作用は、ピルの種類を変えることで解消されることもあります。副作用がひどい、また数か月と長く続く場合には、がまんせずにかかりつけ医に相談しながら身体の様子をみてくださいね。

副作用として特に注意しなければならないのが、「血栓症」と呼ばれるものです。
血栓症とは、血管が血のかたまりで詰まってしまう病気で、脳梗塞や心筋梗塞などが挙げられます。ピルを服用することで、ごく稀なことではありますが、この血栓症のリスクが高まる可能性があります。胸が痛い、息が苦しい、といった症状が出たら、すぐに一度服用をやめて、病院で診察を受けてください。

ピルの服用で血栓症が発症する事例においては、元々の体質や日常生活の習慣が影響しているケースが多くみられます。ピルを処方される際、しっかりと問診を受けて血栓症の発症の心配がないことを確認することで、安心して服用するようにしてくださいね。

また、副作用と同様に心配の声が多いのが、「妊娠への影響」です。ピルを服用していたら、妊娠したいと思ったときに影響はないの? という不安の声が良く聞かれますが、ピルの服用は妊娠に大きく影響することはありません。
妊娠を希望されたタイミングでピルの服用を辞めることで、排卵が再開され、妊娠できる環境に戻ります。ただし、服用を中止した直後は周期にズレが生じることがあります。生理と毎日の基礎体温を記録することで、排卵日を予測し、正しいタイミングをとるようにしてください。

●ピルの服用は何歳まで?年齢に合った治療の選択を

ピルは何歳まで服用するのが適しているのでしょうか。ピルは妊娠の働きに関わるホルモンを調節するため、「閉経まで」の服用が適しているといえます。
閉経が近づくと、女性ホルモンの分泌が低下します。このホルモンの変化に体がついていけずに、頭痛や発汗といった不調が出る場合があり、いわゆる「更年期」と呼ばれる時期に突入します。

更年期はホルモンが低下することで発症するため、一見するとピルの摂取を続けることが正しいように思えます。しかし、ピルに含まれている成分の量が、更年期により低下したホルモン量に対して多すぎるため、乳がんや血栓症のリスクが高まる、といった逆効果となってしまう恐れがあるのです。

そのため、更年期にはよりホルモン量が抑えられたHRT(ホルモン補充療法)という方法をおすすめします。
閉経を迎える平均年齢は一般的には50歳前後といわれています。閉経が近いかも、と思われる方は、ピルの処方の際に医師と相談し、適したタイミングで切り替えられるように準備していきましょう。

ピルは、今のあなたの悩みを解決し、将来のライフプラン設計の一助となってくれる可能性を秘めています。
しかし、副作用の印象が強いことや、目的が「避妊」に限った印象が強いことが原因で、海外に比べて日本での普及率は大変低いのが現状です。
服用を検討されている方は、かかりつけ医と相談して副作用の対策をしながら、安心して活用してみてくださいね。