奈良市のカフェ『くるみの木』のオーナーとして知られる石村由起子さん。料理上手の祖母の器づかいや食事の支度を手伝ううちに、自然と美しい器たちに惹かれていったそう。ここでは、心くすぐられる小さな食器たちを紹介します。
※ この記事は『わたしの食器棚』(PHPエディターズ・グループ発刊)より一部抜粋、再構成の上作成しております。
すべての画像を見る(全4枚)豆皿のよさは、その「自在さ」
器好きにとって、豆皿の愛おしさというのはたまらない魅力があります。作家のものだけでなく、骨董や、旅先で出合ったものなど、いつの間にか集まっているという楽しさもあります。
豆皿のよさは、なんといってもその自在さにあると思います。どんなふうに使ってもいいのです。たとえば、お粥に添える昆布をのせたり、梅干しをひとつ、奈良漬けを2枚、薄く切ったからすみとだいこん、大徳寺納豆を何粒かなどなど…。もちろん、本当に豆をのせてもよいですね(笑)。
箸置きにすることもできるし、写真のようにお盆にのせて、箸置きと箸を添えれば、これから始まる食事への期待感がぐっと高まります。
●手頃で買いやすいのも魅力
豆皿は、手頃で買いやすいという魅力もあります。器は6枚単位で、その倍数を買うことが多い私ですが、豆皿だけは、1枚ずつでも買ってしまいます。
珉平焼(みんぺいやき)(淡路島)や御深井焼(おふけやき)(愛知)、黄瀬戸(きぜと)(美濃)の豆皿は、名のある骨董屋で買えば、それなりの値段がしますが、まだまだ地方の市や骨董屋で状態のよいものが、手頃な値段で見つかることがあるという愉しみも残っています。
豆皿との出合いが器の深遠な世界に足を踏み入れるきっかけになることがあるかもしれません。
私は、豆皿の蒐集を高校生の頃から始めました。旅館に嫁いだ叔母が骨董市に連れていってくれたのが始まりです。自分が好きだと思うものだけを選べばよいという教えのもと、お小遣いを握りしめて、真剣勝負で1枚の豆皿を探し当てた日の興奮を、いまも忘れることができません。小さくても美しいものは美しい。好きなもの、よいものを見続けていれば、それなりに目は育っていくものです。
豆皿を買ったら、飾っておくだけでなく、ぜひ、使ってみてくださいね。やがてその豆皿に合う箸、箸置き、小鉢がほしくなることでしょう。豆皿は器好きのスタートたり得る器です。

