「予約の取れない和食屋」として一躍注目を集め、その後も第一線で活躍を続ける和食料理人・笠原将弘さん。累計部数10万部を突破した「極みシリーズ」から、新刊『笠原将弘の旬副菜の極み159』が発売され、あらためて注目を集めています。今回は笠原さんに、50歳を過ぎて変化を感じているという食生活のことや、意外な推しの作家さんの話まで、たっぷり伺いました。

笠原将弘さん
笠原将弘さん
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50代になって、普段の食事や酒のアテにも変化が

笠原さん

――現在53歳の笠原さん。年を重ねて、食生活は変わりましたか?

笠原:50歳を過ぎて、かなり変わってきましたね。もう圧倒的に「野菜を食べたい!」と思うようになりました。若い頃は、レストランでフルコースを食べたり、焼き肉とか揚げ物だって遅い時間に平気に食べていたけれど、今はムリ。もうね、ヘルシーなものを体が欲しています。豆腐とかこんにゃくとかを食べて、しみじみうまいな~と感じますね。

――もしかして、大好きなビールのおともも最近はヘルシーなものに?

笠原:そうなんですよ。酒のつまみって、小鉢みたいなものが多いから、そもそもヘルシーなんですけれど。昔は、「サラダでビールは飲めない!」なんて思っていたけど、今はそれもありかなって思いますね。もちろん、揚げ物やこってりしたつまみもたまには食べるけれど、いつもじゃなくていい。ふだんは生野菜やシンプルな野菜料理が食べたいなと素直に思っちゃいますね。なんかもう、行きつくところまできちゃってるのかも(笑)。

笠原さんが提案するシンプル副菜。冬が旬の白菜を生でいただく「白菜ザーサイ」
笠原さんが提案するシンプル副菜。冬が旬の白菜を生でいただく「白菜ザーサイ」

――ここ数年の食生活の変化は、年齢的なもの以外にもなにかきっかけがあるのでしょうか?

笠原:それは多分、池波正太郎先生の影響が大きいですね。僕は長年、池波先生の小説やエッセイを愛読していて、その世界にどっぷり浸(ひた)っているんです。だから、江戸時代への憧れがすごくあるんですよね。

池波先生のすばらしいところは、料理の描写で季節感を出しているところ。「冬だから大根がうまくなってきた」とか「春になってアサリがたくさん採れたから、近所の漁師がもってきた」とか、そういうシーンがいっぱい出てくるわけですよ。池波先生ファンとしては、そこにぐっと惹(ひ)かれるんですよね。

当時の料理はシンプルで潔くて、素材を生かすことが当たり前。読むだけですごく勉強になりますね。