3:最終的に困るのは「家族」だということ

服
父の部屋にはたくさんの服がありました
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遺品整理をして改めて感じたのは、「ものをためこむと、最終的に困るのは家族」ということです。

もち主にとっては思い出の品でも、家族からすれば「これは残す? 捨てる?」と判断を迫られる対象になります。その作業は「ものの整理」だけでなく、「心の整理」でもあります。悲しみのなかで決断を繰り返すのは、心理的に負担の大きな作業でした。

だからこそ、私は「今のうちから身軽に生きる」ことが大事だと学んだのです。

生前整理という言葉を聞くと少し重く感じるかもしれませんが、実際は自分の暮らしを整えることにほかなりません。「今の自分に必要なものだけをもつ」ことは、未来の自分や家族を大切にする行為だと思います。

4:最期は身ひとつで、この世を去る

木箱
生前に私がプレゼントした箱。棺の中で眠っている父のそばに置いておきました

父の棺を前にして思いました。

「あの世に多すぎるものは持っていけない」

棺に入れてともに旅立てるものは、「普段身に着けていた身の回りの品、少しの思い出」だけでした。

私たちは、最期は身ひとつでこの世を去ります。だからこそ多すぎるものに囲まれて暮らすのではなく、必要なものだけとともに、身軽に暮らしていきたい。そして、私がいなくなったあと、家族が困らないようにしておきたい。

父の遺品整理は、そんな「これからの生き方」を考えるきっかけをくれました。

ものを減らすことは、限られた時間のなかで、なにを大切にして、だれと生きるかを選び取ること。「今この瞬間を、軽やかに生きていくこと」が大切なのだと実感しました。