53歳でスペインに単身留学し、その後も帰国せずに異国での暮らしを続けているRitaさん(56歳)。スペインでの3年間を経て、現在はジョージアの港町・バトゥミで「旅暮らし」を実践中。知らない土地で過ごすことに慣れてきたというRitaさんは「背中を押してくれるのは食事」と話します。ジョージア初心者のRitaさんが、独特のこってり感があるジョージア・バトゥミの食文化について教えてくれました。
すべての画像を見る(全7枚)知らない土地で背中を押してくれる「食事」
スペインでの留学を終え、今、ジョージアの黒海沿いの街・バトゥミで旅暮らしをしています。
人生後半になってから、知らない土地に身をおくことに少しずつ慣れてきましたが、そんなとき必ず私の背中を押してくれるのが、「食事」です。
新しい街に着いてまず気になるのは、やっぱりその土地の食文化。どんなものを食べて、どんなふうに味わうのか。それは、その国の価値観や暮らしをまるごと映し出してくれるようにも感じます。
バトゥミがあるアジャラ地方は、黒海と山に囲まれた自然豊かなエリア。海の幸と山の恵みが共存したメニューを見かけます。
まだ現地の人と食事をするようなことはありませんが、何度か地元のレストランを体験して、いくつかの発見がありました。今回は、ジョージア初心者の私が感じた「食卓の第一印象」をお届けできればと思います。
こってり濃厚、でも滋味深いアジャラ地方の食
ジョージアのなかでも、アジャラ地方の料理には独特の“こってり感”があると言われています。 山岳地帯ならではの食材、牛やヒツジ、ヤギの乳を使ったチーズやバター、ヨーグルトが豊富。ニンニクもふんだんに使われ、どれも味がしっかりしています。地元の人にとっては、この濃厚食が日々のエネルギー源ともいえるのではないでしょうか。
また、果物やナッツ、ハーブを使った料理も多く、バランスの取れた食文化。トルコや中東文化の影響を受けたとされる香辛料や料理法も見られ、ちょっとスパイスの効いた料理が多いように感じます。地元産のアボカドや柑橘類もよく見かけ、季節の果物を使ったジャムやデザート、市場にははちみつも多種類売られていました。
食べごたえはしっかり。ほんのりピリッと。そしてどこかやさしさのある味。そんな印象を受けています。
存在感のあるパンにチーズと卵とバターたっぷりの「ハチャプリ」
ジョージア料理といえば、まず名前があがるのが「ハチャプリ」です。舟形のパンの真ん中に、チーズと卵、そしてとろけるようなバターがドンとのっていて、テーブルに出てきた瞬間からその存在感に圧倒されます。
もともとパンもチーズもバターも大好きな私にとっては、これはまさに“ごちそう中のごちそう”。外はこんがり、中はとろとろ。焼きたてをちぎって、チーズや卵にからめながら食べる瞬間がたまりません。
店舗によっては、1人用サイズと、みんなで取り分ける大きめサイズもあり、大皿で登場すると、「どう切る?」「だれから?」と、皆でワイワイしている姿を見かけます。
スープやメイン料理に添えられるのは、基本的にはパン。注文の際に必ず「パンつける?」と聞かれます。
ジョージアのパンは、見た目はフォカッチャ風で、どこかナンを分厚くしたような雰囲気。表面は香ばしく、中はもっちり。シンプルながら、料理との相性は抜群です。