うま味がぎゅっとつまった「ヒンカリ」

ヒンカリ
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外食のなかでとくに印象深いのは、「ヒンカリ」です。見た目は、大きな小籠包のようで、本来は山岳地帯の郷土料理として生まれたそうですが、今では国民食のような存在で、全国で親しまれているようです。

たっぷりの肉汁がつまったヒンカリは、先をキュッと絞った独特の形。絞った部分を手でつかみ、ひと口ずつかじりながら、中の汁をこぼさないように食べる…これが基本の食べ方です。

この食べ方を、丁寧に教えてくれたのは、お店のスタッフ。違う店舗で2回食べましたが、毎回「外国の人はみんな汁をこぼしちゃうんだよ!」とスタッフがジェスチャー混じりに教えてくれました。

さらに驚いたのは、ヒンカリの“絞り口”、つまり皮の先端部分は食べずに残すのが作法なのだそう。なにも知らずに全部食べてしまった私は、隣のテーブルで地元の人が残しているのを見て、ハッとしました。

でも、そんな作法も忘れて食べきりたいくらい、うま味がじんわりと染み込み、味わい深い料理です。

見た目も味わいも、どこか愛くるしいヒンカリ

ヒンカリ

おみやげ店をのぞくと、ヒンカリ型のマグネットや置物、バッグに靴下の柄まで、あらゆるところに登場しています。

まるで、ジョージア中がこの小さな“包みもの”を大切に守っているような、そんなヒンカリ愛が伝わってきます。

“食べること”はイベント、時間をともに過ごす喜び

テラス

ジョージアでは、テラス席のあるレストランやカフェが多く、外の空気を感じながら、ゆったり食事を楽しむ人たちの姿が印象的です。

よく目にするのは、フォークは置いて会話に夢中になっているグループ。笑顔と笑い声が響くテラス席や店内は、ちょっとした宴のような賑やかさがあります。

テーブルには何皿もの料理が並び、食べるペースもゆっくり。各レストランのメニューは、3〜4人でシェアするのが前提のサイズ感があります。近くのテーブルにいた3人組は、3種類の大皿を囲みながら、楽しそうに取り分け合っていました。

私がオーダー時に、「これ大きいよね…?」と困った顔をしていると、「半分にしようか?」とお店側から声をかけてくれました。それでも1人分としては、十分すぎるボリューム。ジョージアでは、“しっかり食べる”こともまた、大切な文化なのだと実感します。

魚

とはいえ、私の知識はいまのところ、外食を通じた“観察”に過ぎません。ネットで調べたり、過去に滞在された方の情報を参考にしながら、まねっこしつつ「暮らしの味」を探しているところです。

まだほんの入り口に立ったばかりですが、今まで食べたものはどの味も、私にとっては外れのないおいしさを感じています。

スマホの地図アプリには、「行ってみたい」マークが、増えるばかり。これから出合う新しい食文化や味との時間を、楽しみに過ごしていきたいと思います。