近年、「デジタル遺産」という新たな遺産の分野が生まれました。デジタル遺産について、生前に適切に対処しておかないと、死後に遺族に迷惑をかけてしまう可能性もあります。今回、相続実務士で『相続法改正対応版 一番かんたんエンディングノート』など多くの書籍の監修を務めている曽根恵子さんに、デジタル遺産について気をつけるべきこと、遺された遺族がデジタル遺産を探す際のポイントを解説してもらいました。

デジタル遺産
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)
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デジタル遺産にはどんなものがあるのかを把握しよう

デジタル遺産とは、端末やネット上に保管されている電子データのことです。具体的には、下記のものが含まれます。

・銀行や証券会社などのネット金融口座

・端末やクラウドストレージに保存されている写真や書類

・インターネット上にあるSNSやサブスクリプション(サブスク)などのアカウント

・Suicaなどの交通系電子マネー

・PayPayなどのキャッシュレス決済サービス

なかでも重要なのが、ネット口座と電子マネーです。口座内の預金や、電子マネーのチャージ残額などは金融資産なので、相続の対象になります。

なお、パソコンやスマートフォン以外にも、タブレットやUSBメモリ、外づけハードディスク、マイクロSDカード、CD-ROMなどにも保存されているデータも、デジタル遺産となります。

「もしも」に備えてデジタル遺産の情報をまとめておこう

デジタル遺産の多くは、本人からの申し出がない限り、家族が把握することは困難です。また、厳重なセキュリティがかけられていることが多く、第三者がセキュリティを解除するのは困難です。

そもそも、パソコンやスマートフォンを立ち上げるためにパスワードが必要となる場合も多くあります。そのため、「生前になにも対策をしておかないと、パスワードを探したり、操作方法を覚えたり、端末内のデータを探したりと、遺族には大変な手間がかかる」と、曽根さんは注意を促します。

パソコンやスマートフォンを活用していたり、ネット銀行やネット証券を利用していたりする人は、「生前にデジタル遺産の情報を確認し、デジタル遺産の種類や、ログイン時に必要な情報をまとめておく必要があります」(曽根さん)。

そして、どこにその情報がまとめられているかを、ノートなどに整理しておきましょう。

ノートなどにまとめる際は、ロック解除やログイン時のパスワードとともに、もしものときのデータ消去や処理の希望についても記しておきます。

SNSやサブスクについても、IDやアカウント名、ログイン時のパスワード、登録電話番号やメールアドレスなどを記しておきましょう。また、遺言書にログインIDやパスワードを記しておくという方法もあります。

●見られなくないデータがある場合は…

パソコンやスマートフォンには、遺族には見られたくない、知られたくない情報が残されていることもあります。

曽根さんによると、終活としてデジタル遺産を整理する場合は、「自分の死後に見られたくないデータがあれば、アプリは常にログアウト状態にしておく、あらかじめ削除しておくなどの対策をとっておくと安心」とのことです。

また、もう連絡を取らない知人などのメールアドレスや過去のやりとり、電話番号も削除しておくといいでしょう。