本をメディアにPRすることを仕事とし、多くの書籍でPRを担当してきた黒田剛さん。50万部を超えるヒット作品を手掛けた実績をもつプロフェッショナルであり、現在はPRの依頼をしてもなんと2年待ちという状況。一見すると、最短ルートで迅速に結果を出しているように思われますが、じつは黒田さんの考え方ややり方について「非効率だね」と指摘されることもあるのだそう。今回は、そんな黒田さんが実践する“非効率思考”についてご紹介します。
迷ったときは「ワクワク」する方を選ぶ
「うまくいくコツを教えてください」「チャチャッとやっといてくれればいいから」。そんな言葉をよく聞きませんか?
「多くの人は、ラクに最短時間で仕事を片付けられるセオリーがどこかにあるはず、と思っているのかもしれない。あるのかもしれませんが、僕の興味はそこにはない。僕が仕事で重視するのは“費用”や“時間”ではないんです」(黒田剛さん、以下同)
では、なにが基準になっているのかといえば、“楽しさ”。コスパでもタイパでもなく、しいていえば“タノパ(楽しさパフォーマンス)”です。
「編集部から相談を受けて、『どちらの本をPRするべきか』と迷ったら、ワクワクする方を選ぶことにしています。僕がワクワクする仕事の基準は、「だれかに伝えたくなるかどうか』ですね」
ワクワクのイメージは、こんな感じだそう。
「編集者からこれから出る本の話を聞く。その話を聞き終わる前に、『それだったら、こんなことできるかも!』『あの番組の人に言ったら、絶対興味もちますよ!』『わかります! この本、絶対みんな欲しいですよ!』。話が終わってもないのに、だれかに伝えたくなってしまう状態。この“タノパ状態”こそが、仕事のエネルギーになります」
ワクワクするのはつまり「まだ世の中にない」ということ。それは、「これまでの伝え方が通用しないかもしれない」ということでもあります。
「失敗するかもしれないし、やったことがムダに終わるかもしれない。けれど、セオリーどおりではないことにチャレンジしたときこそ、成功も大きいと僕は経験から知っています。効率を追求しない“タノパ”こそが、僕の中で最高の価値なんです」