7月も中盤にさしかかり、本格的に夏が到来。これからさらに暑さが深刻になってくるため、体調を万全に整えておきたいものです。とくに夏の始まりは気候の変化により、自律神経が乱れがちになり、心身ともにバランスを崩しがちに。今回は、桜十字福岡病院 人間ドック・健診センターのセンター長である医師の髙司由理子先生に、自律神経を整える生活習慣のポイントと、メンタルの不調におすすめの対処法を伺いました。
すべての画像を見る(全4枚)季節の変わり目に体調を崩しやすい理由
梅雨の時期には、気圧・気温・湿度の変化がめまぐるしく、人の体と心に少なからぬ影響を与えます。医学的には、低気圧により自律神経のバランスが乱れることがおもな原因です。
耳の奥にある“内耳”は気圧の変化を感知するセンサーのような働きを持ちますが、気圧が急激に下がり、交感神経が過剰に刺激されると血管が収縮し、頭痛・肩こり・めまいなどの症状が現れやすくなります。
一方で、気圧の低下によって副交感神経が優位になることもあります。この場合、血管が拡張し、無気力や眠気、片頭痛などの症状を引き起こします。
ほかにも、日照時間の減少により脳内のセロトニンという幸せホルモンの分泌が減少し、気分が落ち込むことや、高湿度・気温差により体温調節機能や水代謝機能、消化機能が低下することなどが要因と考えられています。
自律神経のバランスを整える対策
もし、季節の変わり目に心身の不調を感じたら、自律神経のバランスが乱れているからかもしれません。その場合は、次の対策が考えられます。
●1:自律神経を整える生活習慣を心がける
自律神経は、生活習慣を整えることでバランスが整ってくるものです。朝はカーテンを開けて日光を浴び、セロトニンを活性化しましょう。また就寝・起床時間を一定にして生活リズムを保つことも大切です。
日中には軽い有酸素運動、たとえばウォーキングなどを取り入れるとよいでしょう。夜はぬるめのお風呂にゆっくり浸かること、そして質の高い睡眠のために、睡眠環境を整えることも大切です。室温は26度前後、湿度は50~60%が目安です。
●2:不調時にはポイントケアを行う
不調を感じたときには、次のケアを行いましょう。
・耳周りのマッサージ
耳のまわりを優しくマッサージすることで、内耳の血行改善に役立ちます。
・適量のカフェイン摂取
コーヒーやお茶などのカフェインを含む飲料を適量摂取します。交感神経を刺激したり、利尿効果によるむくみ改善にもつながります。好みの飲み物を飲むことでリラックス効果も期待できます。
・適度な運動と入浴
適度な運動と入浴は、水分代謝を整えます。冷房による冷えも水分代謝を下げるため、オフィスや乗り物で羽織れるものを常備するのもおすすめです。
●3:食事で必要な栄養素を摂取する
自律神経が乱れがちな季節の変わり目には、次の栄養素・食品を意識して取り入れましょう。
・腸内環境を整える発酵食品:納豆、キムチ、ヨーグルトなど
・抗炎症作用のある食品:青魚、オメガ3系オイル、トマトなど
・疲労回復に効くビタミンB群を多く含む食品:豚肉、玄米など
・脾(ひ)を補う(消化機能を助ける)食品:山芋、はと麦など
・気を巡らせる食品:しそ、みょうが、ねぎなど香味野菜など