じつは避難所に定員があり、必ず入れる保証はないとご存じでしょうか? そこで考えておきたいのが「在宅避難」。ここでは国際災害レスキューナースの辻直美さんに、在宅避難で欠かせない水のストック量や、断水時に役立つ災害用トイレのつくり方を教えてもらいました。

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在宅避難に必要なものと量とは?
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大震災では物流が動くまで数週間かかることも!?

「被災したら避難所へ行くもの」と考えている人は多いかもしれません。しかし、辻さんは「在宅避難という選択肢も考えておくべき」と言います。

「避難所には定員があり、必ず入れるとは限りません。感染症やプライバシーのことを考えると在宅避難がいいケースもあります」(辻直美さん、以下同)

ただ、そのためには生存に不可欠な水や避けられない生理現象・排泄への備え、食料など、さまざまな備えが必要です。

「国は最低3日〜1週間、家族分の備蓄が望ましいとしています。しかし、過去の事例を見ていると、大災害が起きた場合、インフラや物流は数週間では復旧しません。そのため、私は1か月乗りきれるよう備えています」

その量を聞くと、「多い…」と思う人もいるでしょう。

「家にストックしておく場所がないという声もよく聞きます。でも、家全体を備蓄庫として考えるとスペースはあるものです。また、多くは日々の生活で使うものと兼ねるので思っているほど多くはないものですよ」

1人あたり1日3L必要。10日分は備えておきたい

水は大人1人あたり1日3Lを想定して備蓄を。3Lのうち、1Lは生活用水。体や食器などを洗う用。2Lは飲料用水。飲んだり料理に使うためのもの。

「給水車は10日ほどで来ることが多いのですが、不安な人は2週間分用意しておくと安心です」

辻さんは500mL、1L、2Lとサイズを変えて用意し、家の各所に分散収納。

「命をつなぐ水。どこで被災しても取り出せることが大切です」

●長期保存水より普通の水をローリングストック

長期保存できる災害用保存水ではなく、一般的に売られているミネラルウォーターでOK!

「ローリングストックすれば期限を気にする必要がないし、防災への意識が続きます」