記憶が薄れても「色」は母の心を照らしている

ひな人形
先日介護施設を訪れたときは、ひな人形が飾られていました
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認知症の母はいろいろな記憶をなくしていて、ファンタジーの世界の中に生きています。不思議な妄想を口にすることもあります。

その一方で鮮明に覚えている記憶もあるようで、私が母のお下がりの服やアクセサリーを身につけていると、「それは○○で買った」などと教えてくれることもあります。ファッションが好きな母は、服やアクセサリーにまつわる記憶はしっかり残っているようです。

先日訪れたとき、母は私の名前や娘であるということがあやふやになっているようでした。認知症は、波をくり返しながら少しずつ進んでいくそうで、いつか私のことも、すっかり記憶からなくなってしまうのかもしれません。

でも、「華やかな格好の人が来てくれてうれしい」と感じてくれたら、それだけでいいと思っています。大したお世話もできない私にとっての親孝行は、明るい色の服を着て笑顔でいることだけかもしれないと考えています。