香川県高松市にある実家をあき家のまま25年間、管理し続けたタレントの松本明子さん。トータルでかかったコストは約1800万円! なぜ、どうしてそこまでの時間とお金がかかったのか? 実家じまいの難しさを語っていただきました。

松本明子さん
実家じまいは「文字どおり『死にそう』でした」と話す、松本明子さん
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「息子に同じことはさせない」と決意し、実家じまい

――実家じまい、時間もお金もかかりましたね。

松本:私は27歳のときに両親を東京に呼び寄せて、実家があき家になったんです。そのときすでに「実家を継いでほしい」と言われまして。そこからですね、実家の管理は。ガスは止めていましたが、水道や電気の基本料金は毎月払っていました。ほか、固定資産税や火災保険、庭木の剪定(せんてい)など、平均して毎月3万円くらいを管理費用として払っていました。

――あと、25年間で大規模なリフォームを2回されていますよね。

松本:2011年の東日本大震災をきっかけに、東京以外に家があった方がいいと、水回りを中心に350万円をかけてリフォームしました。その後、実家じまいを決意したタイミングで2回目のリフォーム。そのときはフローリングや電気設備の交換で250万円くらいかな。

――節約上手の松本さんですが、実家に関して惜しまないのですね。

松本:父からは遺言でも「実家を頼む」と言われ、それは、実家を相続した母の願いでもありました。きれいに維持管理しなきゃという使命感ですよね。だから、毎月支払うお金のことも、当時はまったく考えませんでした。

――必要経費だと。

松本:だから、実家じまいを決意しときにびっくり! 「だれも住んでいない家にこんなに注ぎ込んできたんだ!」って。リフォームしたお風呂に1回も入ってないのに!

――実家じまいをしよう! と決めたきっかけはなんだったのですか?

松本:母の死から3年がたって、ようやく気持ちも癒えてきたのがひとつ。あと、大きかったのは息子の存在です。高松の家も息子の役に立つかもしれないと思っていたのですが、息子は東京生まれの東京育ちです。「息子のため」と言っているのは私のエゴだって気づいたんです。実家を残したら息子は私と同じことを続けなくてはいけない。私の代でカタをつけなきゃ! と思ったんです。

父の愛した家が200万円でも売れない!?

松本明子さん実家
高松の実家は、宮大工さんが釘を使わずに建てた総檜(ひのき)づくり純和風一軒家。それでも、築年数がたつと、上物の価値はゼロ!

――実家じまい、なにがいちばん大変でしたか?

松本:実家に残された膨大なものの片づけですね。新幹線や飛行機も使いましたけど、東京から車で片道12時間かけて実家に帰り、掃除や片づけをして、夜中、運転して東京に戻るというのを7往復しました。

――片づけと同時に、不動産屋さんに相談をされていたのですよね?

松本:土地込みで1000万円ぐらいにはなるだろうし、すぐに売れるだろうとタカをくくっていました。でも、査定結果は「上物の価値ゼロ。土地の価格で200万円」。

――リフォームまでしたのに。

松本:不動産屋さんからは建物を壊して更地にした方が買い手はつきやすいと言われたのですが…。その更地にする費用が500万円と言われて。なんじゃそりゃ!? と。結局、ダメもとで高松市がやっている「空き家バンク」に登録して、そこで買い手が見つかったんです。「今すぐ住める」と、気に入っていただけて。